期待が高まる女性総理の誕生
もしも日本に女性初の内閣総理大臣が誕生したならば......。
日本史上にはまだないこの出来事を描いた映画『総理の夫』で共演した田中 圭さんと中谷美紀さん。
総理大臣や大統領の配偶者が男性であればファーストジェントルマンと呼ばれるそうだが、そのファーストジェントルマンである主人公の相馬日和(そうまひより)を田中さんが演じた。
まずはこの役をどう捉えたのかについて伺った。
「僕が大事にしたのは“凛子ファースト”。それに尽きます」──田中 圭
「脚本を読んで思ったのは、僕が演じる“日和”が自分からは何にもしない人だということです。妻の凛子の行くところについていって応援するだけだし、自分の母親や兄に対して自分の意見をぶつけるわけでもありません。僕にはかねてから“受けの芝居をする主役”を演ってみたいという願望があったのですが、日和はまさにそのタイプ。衣裳合わせのときに監督には思わず“何もしなくてもいい役なので嬉しいです”といってしまいましたが、もしかすると悪い意味に聞こえたのではないかと反省しました(笑)。でも物語の主人公としてはとても珍しい人物です。日和は妻に対してはリスペクトや愛情があるなかで、絶対に揺るぎないのは“凛子ファースト”であること。演じるうえではそれさえ守れば何でもできるという自由さがありました」
©2021「総理の夫」製作委員会劇中の妻が総理大臣になることで変化する夫婦の日常にはリアリティがある。
日和の妻の相馬凛子を演じた中谷さんは、まだ見ぬ日本初の女性総理大臣をどう演じようと思ったのだろうか?
「総理大臣は国民の命や生活を守るだけでなく、外交にも取り組まなければならないという私たちには想像できないような重責を担っていると思います。だからこそ声を荒げて意見を述べるだけでは、リーダーとして存在することはできないと思い、アンガーマネージメントの必要性を感じました。自分が窮地に立たされたり、憤りを覚えるような状態であったりしても、決して声を張り上げることなく演じるように心がけました」
お二人がイメージして築き上げた夫婦像は、妻を一途に思う夫と、そのパートナーに支えられる妻としても、国家の代表としても力強い存在感を放っている。