衣装協力：〔田中さん〕エンポリオ アルマーニ（ジョルジオ アルマーニ ジャパン） 〔中谷さん〕ドレス／バイ マレーネ ビルガー（エスアンドティ） イヤリング／ヴァンドーム ブティック（ヴァンドームブティック 伊勢丹新宿店） ブレスレット／ハム（エスケーパーズオンライン）信念を貫くための夫婦のありかた
本作で共演したときのお互いの印象についても伺った。
「田中さんは気負っていなくて、とてもフラットなので、共演者としては楽でした。ご自身に求められていることもよくわかっていて、ご自身の引き出しから必要なときに必要なものを自在に出すことができるとても器用なかたです」と中谷さん。それを受けた田中さんは、
「器用ですね（笑）。中谷さんとは何度かご一緒させていただいたことはありましたが、今回は初めてたくさんお話しする機会がありました。僕がイメージしていたとおりの中谷さんでしたが、現場をご一緒するたびに新鮮な発見がありました。それにはみんなが知らない可愛らしい一面を知っていくような特別感がありました。素敵なかたです」
そんな和やかな雰囲気で行われた撮影現場で生まれたシーンでは、何がいちばん楽しかったのだろうか？ 田中さんが挙げたのは選挙活動のシーンだった。
「妻が総理になると夫にも“ヒヨラー”と呼ばれるファンができて“見られかたには気をつけてください”と秘書の人から忠告されつつも、たいしたことはできずに、ただただ凛子のことを思っているだけ。そんな日和が凛子と一緒に選挙カーに乗るシーンがあります。妻が苦境にあっても何もできないけれど、近くでひたすら応援できるというのは、二人三脚でできるという感覚があって、僕は結構楽しかったです」
「これが物語ではなく、現実であってくれたらいいと思います」──中谷美紀
日和は妻にとっていちばん大切なことができる素敵な夫。中谷さんが選んだのも、女性が憧れる理想的な場面である。
「朝起きた瞬間においしい朝食の香りが漂ってくるという、日本の普通の女性がなかなか体験できないことだと思いました。夫の日和がキッチンに立って、遅れて目覚めた妻のために朝食を用意してくれているというのは、演じていてすごく幸せでした。凛子は総理大臣というポジションを日和に支えられて一緒に作ったものだと顕著に感じましたね。田中 圭さんが普段、朝食作りをなさっているかどうかはまた別の話ですけれど（笑）」
その問いに「一回もしたことはないですね（笑）。僕は料理ができないので」と田中さん。
こうしたお二人の魅力が楽しめるほか、二人が住む瀟洒な住まいなどのロケ地や中谷さんの洗練された衣裳など、見応えのある作品だ。
田中圭／たなか・けい
1984年、東京都出身。2000年にデビューし、2003年ドラマ『WATER BOYS』で話題となり以降、テレビ、映画、舞台など幅広く活躍。直近では、Huluオリジナルドラマ『死神さん』（2021年9月17日から配信）、TX金曜8時のドラマ『らせんの迷宮』（2021年10月期）、映画『そして、バトンは渡された』（2021年10月29日公開予定）、映画『あなたの番です 劇場版』（2021年12月10日公開予定）など出演多数。
中谷美紀／なかたに・みき
1976年、東京都出身。1993年ドラマ『ひとつ屋根の下で』でデビュー。1999年『ケイゾク』で注目を浴び、以降、テレビ、映画、舞台など幅広く活躍。2007年には主演映画『嫌われ松子の一生』で第30回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。1996年アルバム『食物連鎖』など、歌手としても活動。著書に『オーストリア滞在記』、『インド旅行記』（ともに幻冬舎文庫）がある。オーストリアでの日常を切り取った公式Instagram「
＠mikinakatanioffiziell」を開設。
『総理の夫』
人気作家・原田マハの小説を映画化したヒューマン・コメディ。大財閥の子息で鳥類研究所に勤める相馬日和には、一目ぼれして結婚した年上の妻、凛子がいる。その妻が日本史上初の女性総理大臣になったことで“ファーストジェントルマン”になる日和。愛する妻を微力ながらも応援しようと奮闘する夫と、激動する日々を夫に支えられながら国民の未来のために信念を貫こうとする女性を描いている。
原作／原田マハ『総理の夫 First Gentleman』
監督／河合勇人
脚本／松田沙也、杉原憲明
音楽／富貴晴美
公式URL／
https://first-gentleman.jp/日本映画 2021年9月23日より全国公開撮影／伊藤彰紀〈aosora〉 構成・文／山下シオン ヘア＆メイク／花村枝美〈MARVEE〉（田中さん）、下田英里（中谷さん） スタイリング／伊里瑞稀（田中さん）、岡部美穂（中谷さん）
『家庭画報』2021年10月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
