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これで失敗なし!ふっくら味がしみ込んだ、きのこの炊き込みご飯を作るコツを教えます

2021.09.10

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プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

きのこ飯、きのこ汁


きのこ飯、きのこ汁

9月になって2回目のきのこ料理です。「えのきたけの梅和え、カリカリ焼き、なめたけ」で既に3品紹介していますので、今回で5品になります。

今日はきのこ飯だけでなく、秋からの色飯すべてに共通する非常に大切なことをお教えします。いつもどおりの水加減なのに炊き上がりがなぜか柔らかくなってしまった。全体はびちゃびちゃなのに、米粒には芯が残っている。よくある失敗例ですが、その理由がきっとおわかりになるでしょう。ちょっとしたコツやレシピだけでは書き切れませんので、今日は本文に書かせていただきます。


まずは水加減から。色飯に加える副材が炊飯による加熱によって外部に水分を出すか否か?がポイントになります。さつまいも、豆、栗などは加熱するとでんぷんの糊化が起こり、中の水分は動けない状態になり、外に水が出て飯が柔らかくなることはありません。

逆に加熱によって内部から外に水分が出てしまう副材は大根、きのこ、貝類、たこなど。これらは水分量が多いので、最初から一緒に炊く場合は、具材を2割ほど入れるのなら水加減を8~10%くらい減らす必要があります。

次に2つ目の失敗例ですが、色飯は白飯と違い、水のほかに塩や醤油などを加えます。これらが米の吸水を悪くしてしまい、米粒の内部にまで水が浸透せず、その結果、芯のある飯になってしまいます。そして、浸透できなかった水分のせいで、米粒の表面だけがびちゃびちゃにふやけてしまうのです。その傾向は塩よりも醤油を多めに加えた色飯に多く見られます。醤油は塩よりもさらに水分の浸透を阻害するからです。

解決策としては、米を研いだら水を十分に吸わせてから、その後、調味出汁を加えて炊けばよいでしょう。釜や土鍋などで炊くのであれば、火を調整して「初めちょろちょろ」の部分を少し長めにします。つまり、沸くまでの時間を気持ち長めにするとよいのです。

今日も野菜料理を楽しみましょう。


ちょっとしたコツ


・「きのこ飯」は、野菜料理をおいしくする7要素中6要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り 刺激

きのこは炊飯の加熱により水分が外に出るので、その分、最初に加える水分量を減らす。加えるきのこの量にもよるが通常より6~8%減らす

・調味に醤油を使う場合は、炊く1時間以上前に米を研ぎ、真水に30分つけて、米の内部まで吸水させた後、ざるに上げる

・「きのこ汁」は、野菜料理をおいしくする7要素中4要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 甘み 油分 ◎食感 ◎香り 刺激

・きのこを生のまま出汁に加えるよりも、電子レンジで加熱すると時短になる。その際に、きのこから出たエキスも一緒に出汁に加えること。







「きのこ飯」


きのこ飯、きのこ汁

【材料(2人分)】
・米 1合

・しいたけ 4個

・しめじ 1/3パック

・まいたけ 1/2パック

・油揚げ 1/4枚

・生姜(みじん切り) 10g

・昆布出汁 165cc

・日本酒 大さじ1

・みりん 大さじ1

・濃口醤油 大さじ1/2

・薄口醤油 大さじ1/3

【作り方】
1.米は炊く1時間以上前に研いで、真水に30分間つけて米粒の内部まで水をしみ込ませておく。内部にまで水分が浸透したらざるに上げる。

2.きのこはすべて食べやすい大きさに細かく切っておく。油揚げはみじん切りにしておく。(「枝豆飯」参照)

3.炊飯器に米と具材、生姜、出汁、調味料を入れ、しゃもじで1回全体を混ぜたら、蓋をしてスイッチを入れる。

4.炊き上がったら、米粒をつぶさないようにふんわりと全体を混ぜる。好みで三つ葉の小口切りを添えてもよい。

「きのこ汁」


きのこ飯、きのこ汁

【材料(2人分)】
・出汁 300cc
かつお節と昆布の出汁でも、ベジタリアン用は昆布出汁でもよい

・味噌(好みのもの) 適量

・ひらたけ 20g

・しいたけ 2個

・えのきたけ(白、茶どちらでもよい) 20g

・エリンギ 15g

・日本酒 大さじ3

【作り方】
1.きのこはすべて食べやすい一口大の大きさに切り、耐熱皿に広げて日本酒をふりかけてラップをかける。500Wの電子レンジで1分強加熱する。

2.鍋に出汁を入れて火にかける。出汁が温まってきたら、耐熱皿の中の酒とエキスごときのこをすべて加え、80℃くらいになったら味噌を溶き入れ、90℃を超えたくらいで火から下ろして椀に盛る。好みで粉山椒を添えてもよい。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (昼)12時~14時 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。
文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗
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