癒やしの絶景美術館 第5回(全12回) 非日常感を味わいながら、心を癒やし、明日への活力をチャージする場所として美術館を楽しんでいるかたも多いことでしょう。展示作品はもちろんのこと、そのロケーションや建物も一体となってアートを堪能でき、心癒やされる美術館を全国各地で探しました。
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[長野・城山]長野県立美術館
信州の山と空と調和したランドスケープミュージアム
善光寺や信州の山々を眺望する。水辺のテラスには、中谷芙二子作「霧の彫刻 #47610-Dynamic EarthSeries I-」が常設展示され、噴出する霧により開館時間内の毎時30分に、幻想的な空間が生まれる。大自然との調和を堪能するランドスケープミュージアム
傑出した「景観」が持つ土地のパワーを、余すところなく生かした美術館をご紹介します。単なる風景美とは一線を画し、芸術と自然が織りなす美しい関係に心が躍ります。
世界一の東山魁夷のコレクションを誇る
2021年4月に新築オープンした「長野県立美術館(旧・長野県信濃美術館)」。
ガラス張りで開放感溢れる建物は、周囲の国宝・善光寺や信州の山並みと調和する“ランドスケープミュージアム”。建築家・宮崎 浩氏の構想をもとに、ランドスケープアーキテクト(景観設計の専門家)も加わって、広範囲エリアでの分析を行い、周辺景観と調和するよう設計されました。なだらかな斜面の地形に沿って建つ建物は、訪れた人が丘を登るように階を上がりながら、さまざまに変化するパノラマ風景を楽しめる構造です。
信州に縁のある作家を中心とした4600点以上のコレクションや、現代作家の企画展も見どころながら、特筆すべきは併設された「東山魁夷館」。
蓼科高原・御射鹿池(みしゃかいけ)に取材した「緑響く」は東山魁夷の代表作。所蔵する東山作品は970余点に上り、その数は世界一です。国民的画家・東山魁夷にとって信州は自身の芸術を育ててくれた故郷。学生時代にこの豊かな自然に出合って以降、生涯を通してこの土地に通い、代表作「緑響く」など数々の名画が生まれました。
そして生前のうちに長野県に多数の作品を寄贈し、それらを展示するため建てられたのがこの東山魁夷館なのです。展示品は貴重なスケッチや下図も含むほか、“東山ブルー”を生んだ群青の岩絵の具など愛用品の数々も。
東山画伯の息吹が感じられる美術館として、全国から多くのファンが訪れています。
善光寺を望む「ミュゼ レストラン 善」では、フレンチのシェフが地元食材に和の要素を盛り込み作る料理に舌鼓を。ランチコース「善 Set menu “Zen”」4180円は選べるパスタ、メインに加え、パティシエこだわりのワゴンデザート(上の写真)を提供。下のフォトギャラリーから詳しくご覧ください。 Information
長野県立美術館
長野県長野市箱清水1-4-4
入園料 | 一般700円(本館・東山魁夷館共通) 企画展・展覧会により変わる。 |
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TEL | 026(232)0052 |
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営業時間 | 9時~17時(展示室入場は16時30分まで) |
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定休日 | 水曜(祝日の場合は翌日振替)、年末年始 |
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- ●2021年11月3日まで「長野県立美術館グランドオープン記念 森と水と生きる」を開催中。
※各美術館の開館時間、休館日、展示期間、展示内容等は変更になる場合がございます。最新の情報は、各公式ホームページ等でご確認ください。 撮影/小林廉宜 取材・文/平山亜紀
『家庭画報』2021年10月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。