同世代へ向けたデイリーなパール使いを提案
「自分にできることって何だろう?」。2013年、ご家族で赴任先のロンドンから帰国し、お嬢さんも中学に進学したこの頃、自分の時間を取り戻した佐伯さんは自問を重ねます。
「真珠を編むことはできるから、まずはブレスレットを作ってみよう……と恐る恐る取り組んでみたのがスタートです。祖母からは、こんな作品で仕事始めるのって言われましたが(笑)、がんばってと応援をしてくれました」
「子供の頃に祖母から習った編み方がクラシックだったので、仕事を始める際に改めて今のテクニックを学び直しました」実は、ロンドンに駐在する際にも、お祖母さまは佐伯さんにたくさんのパールと糸を持たせてくださったのだとか。「“困ったときに助けてくれた方に、編んでプレゼントできるでしょ。きっと時間もあるし(笑)”って。確かに言うとおりで、ブレスレットを編んでお世話になった方に送りました」。
もしやこれは、お祖母さまの深謀遠慮だったのか!? 2015年にはその名も「グランマズパール」を起業。普段使いからオーダーメイドまで、幅広いパールアクセサリーの製作・販売を手がけています。
「同世代やもう少し上の年代の方に、デイリーに楽しんでいただけるようなパールアクセサリーも作っています。パールの質を落とすことなく、糸の色を替えたり、個性的な金具と組み合わせてみたり。
入り口としてはブレスレットがおすすめですね。手元にあるといつも目が行くから、パールの輝きで凛とした気持ちになるし、パールが守ってくれるような安心感も得られる。そこからアイテムを広げてみてはいかがでしょうか」
そうおっしゃる佐伯さんの耳元にはパールのピアスが。「祖母が守ってくれているようで心強いんです」とにっこり。
ご実家のアトリエでジュエリーを製作する佐伯さん。絵画に造詣の深いお父さま、美大を出て彫金をされるお母さまと両親も感性豊か。