癒やしの絶景美術館 最終回(全12回) 非日常感を味わいながら、心を癒やし、明日への活力をチャージする場所として美術館を楽しんでいるかたも多いことでしょう。展示作品はもちろんのこと、そのロケーションや建物も一体となってアートを堪能でき、心癒やされる美術館を全国各地で探しました。
前回の記事はこちら>> [東京・桜新町]長谷川町子記念館
1階常設展示室の奥にある畳敷きの小上がりは、世間にあまり知られていない町子の絵本も読めるコーナー。タッチパネルを使った塗り絵もあり、小さな子どもも楽しめる。大人も子どももときめく。懐かしのマンガの世界に癒やされる
マンガのキャラクターを愛でるテーマパークではなく、作者の生き方や活躍の足跡、制作活動への情熱までも手に取るようにわかるミュージアムにご案内。作品の世界観を再現する展示には、思わず童心に戻り、時間を忘れて癒やされます。
サザエさんと町子さん、二人の世界に遊ぶ
明るくそそっかしいサザエさんを中心に、庶民の暮らしを楽しく描いた国民的マンガ『サザエさん』。作者で日本最初の女性漫画家である長谷川町子(1920~92年)の作品世界と生涯を紹介する「長谷川町子記念館」が2020年7月にオープンしました。
場所は、作者が後半生を暮らした街で、サザエさん一家の銅像があちこちに建つ東京・桜新町。町子と姉の毬子が蒐集した美術品を展示している「長谷川町子美術館」の向かいです。
自伝的マンガ『サザエさんうちあけ話』の表紙をもとにした銅像。右からサザエさん、作者、『いじわるばあさん』こと伊知割(いじわる) 石(いし)。特筆すべきは、デジタル技術を用いた令和スタイルの落書きや塗り絵を通して、マンガの世界に遊べること。タッチパネル式のモニターで貴重な原画を見ると、緻密な仕事ぶりがわかり感動します。町子の生涯が辿れる展示室には、お洒落をした写真や、仕事に行き詰まったときに作ったという陶芸作品もあり、素顔が垣間見られます。
『サザエさん』に登場する生活道具を配した茶の間。左の板塀はデジタル技術を駆使したもので“光の落書き”ができる。忘れずに立ち寄りたいのが、庭を望むカフェ兼ショップ。銀座の老舗の豆で淹れるコーヒーは、100種類のマンガ付きカップのいずれかで供される心憎い演出です。サザエさんがプリントされたオーガニックコットンのエコバッグや、企画展に合わせたグッズなども好評。懐かしい世界に癒やされ、元気をもらえるミュージアムです。
マンガとはひと味違うタッチの絵柄が新鮮な一品。「サザエさんグラス」各770円。下のフォトギャラリーから詳しくご覧ください。 Information
長谷川町子記念館
東京都世田谷区桜新町1-30-6
入園料 | 一般900円 長谷川町子美術館とのセット料金 |
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TEL | 03(3701)8766 |
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営業時間 | 10時~17時30分(最終入館は閉館1時間前) |
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定休日 | 月曜(祝日の場合は翌日振替)、展示替え期間、年末年始 |
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各美術館の開館時間、休館日、展示期間、展示内容等は変更になる場合がございます。お出かけ前に美術館の公式ホームページ等をご確認ください。 撮影/大泉省吾 取材・文/清水千佳子
『家庭画報』2021年10月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。