withコロナ時代の健康術 第10回(02) withコロナの新しい生活様式で生きなければならないこの時代に、50代以降から衰えやすくなる器官や機能を取り上げ、健康を保つための方法を紹介します。今回は「腸の健康」をテーマに鳥居 明先生にお話を伺いました。
前回の記事はこちら>> 〔解説してくださるかた〕鳥居内科クリニック 院長
鳥居 明(とりい・あきら)先生
●前回の記事
「腸の健康」を意識していますか?病気や不調に気づくセルフチェック13項目>>胃への飲食物の流入、直腸の膨らみが便意を起こす
腸は十二指腸から肛門までの長い管で、10メートル近くにも及びます(下イラスト)。口から入ったものが通過して外に出るため、腸は体内にある外部環境ともいえます。
胃から続く小腸(十二指腸・空腸・回腸)のうち、十二指腸は約30センチ、空腸と回腸は合わせて約6メートル。
空腸と回腸は境目がはっきりしているわけではなく、上部の5分の2が空腸、残り5分の3が回腸とされる。
大腸(盲腸・結腸・直腸)は約1.7メートルと小腸に比べて短いが、約2倍の太さ。結腸にはひも状の組織があり、結腸をたぐり寄せている。
腸内細菌は十二指腸には少なく、空腸や回腸には酸素の有無にかかわらず生きられる細菌が、酸素がほとんどない大腸には嫌気性細菌が多い。
回腸から上行結腸、横行結腸を経て下行結腸に内容物が送られたとき、下行結腸は大きくぜん動する。それを合図にS状結腸にたまっていた便が直腸に押し出される。こうして直腸が便で膨らむとその刺激が脳に伝わり、便意が起こる。
便意が頻繁に起こる過敏性腸症候群ではこの直腸の知覚が過敏になっているといわれている。肛門括約筋はふだんから緊張しており、排便するときにゆるむ。
胃で胃酸と攪拌され、粥状になった食べ物は小腸で胆汁、膵液、腸液が加えられて消化され、栄養分が絨毛状の小腸壁から吸収される。
大腸ではアミノ酸や水分が吸収され、小腸では消化・吸収しづらい食物繊維が腸内細菌で分解される。大腸は大きくぜん動し、内容物を直腸まで送り出す。
小腸は主に消化と栄養分の吸収、大腸は水分の吸収と便の形成を担っています。小腸から大腸に送り込まれた飲食物の残りかすは腸液と混じって液状になっていますが、大腸内を進むにつれて水分が減って硬くなり、直腸の手前で便となって外に出ます。
便意を感じるのは、食後、胃が飲食物で膨らんだという刺激が結腸に伝わったとき(胃・結腸反射)、また腸内で形成されつつある便がぜん動運動によって順番に押し出され、直腸が膨らんだときです。