おなかをこまめに動かすことを意識しよう
便秘の改善に役立つ運動
腰をよく動かして腸に刺激を与え、腹筋を強化することで、便秘の改善が期待できる。一日に2〜3回、気持ちがよいと思うくらいの回数を。腰を痛めないように注意する。
●腸を刺激する4つの運動
手を腰に当て、腰を旋回させる。左回り、右回りの両方を行う。
両手を広げて上半身をゆっくり左右にひねる。
仰向けに寝て両脚を伸ばす。片側の膝を曲げて両手で抱え、おなか側にゆっくり引いて、しばらく止める。左右両方行う。
仰向けに寝て両膝を軽く曲げ、腕を軽く開く。そのままの姿勢で膝を床に向けて倒す。左右両方行う。
●腹筋を強化する2つの運動
椅子に座り、手で座面を支えて、両脚をゆっくり浮かせ、しばらく止めてから下ろす。背中が丸くならないように注意する。
仰向けに寝て両膝を軽く曲げる。頭の後ろで手を組み、勢いをつけないようにして上体を起こす。難しければ、頭や肩を浮かせるだけでもよい。腰を痛めないように気をつける。
上手に使いたい便秘や下痢の市販薬
市販の便秘薬には、腸内で水分を分泌させる酸化マグネシウムのような塩類下剤、便のかさを増やす膨張性下剤、センナのような生薬やビサコジル、ピコスルファートといった大腸刺激性下剤など、さまざまな種類があります。
酸化マグネシウムは腎臓の悪い人や高齢者には使えない、大腸刺激性下剤は連用すると効き目が落ちるなど、それぞれに特徴があるので、薬剤師によく相談しましょう。
「市販の便秘薬は原則として急性の便秘に使うものです。近年、慢性便秘用の処方薬の種類が増えてきました。長期に薬を飲む必要があるので、便秘の治療が得意な医師の診察を受けるのがおすすめです」
下痢用の市販薬には、便を硬めにする薬と、さらに強力な、腸の動きを止める薬の2つのタイプがあります。
「下痢のときには止めずに排便するのが基本で、市販薬はあくまでも一時的な対症療法です。続くようなら受診してください」
〔解説してくださった方〕鳥居 明(とりい・あきら)先生鳥居内科クリニック 院長。1955年生まれ。東京慈恵会医科大学医学部卒業後、同大学大学院博士課程を修了(医学博士)。神奈川県立厚木病院医長、東京慈恵会医科大学附属病院診療医長、同大学助教授を経て開業。専門は消化器病、消化器内視鏡。現在、東京都医師会理事、日本消化器病学会評議員、日本神経消化器病学会理事、慢性便秘症診療ガイドライン作成委員会副委員長などを務める。