今様の仏壇・仏具・仏事の基本 第5回(全8回) 生活スタイルの変化とともに新しい仏壇のイメージが求められている今、故人を供養するという意味を正しく知ることが大切です。ここでは今春、東京・広尾に誕生した都市型納骨堂「南麻布 了聞(りょうもん)」の僧侶、福井威人上人に詳しく教えていただきました。
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故人の御霊の拠り所がお位牌で、拝礼の対象です。儒教の祖霊信仰から受け継いだものを禅僧が宋よりもたらし、仏教に受容されたともいわれます。
『千の風になって』という歌にあるように、墓地にお骨があっても、そこに亡き人の魂が眠っているわけではありません。
私たちは生きるうえで多くの命をいただきます。その穢れともいえる亡骸を天地の気をもって浄化させるのが墓地の役割で、お位牌は手を合わせて拝礼する際の依り代となります。
彼岸で修行を続ける亡き人が、祈りの際にお位牌に宿り、私たちとともにいてくださるのです。魂は場所に縛られず、自由に行き来できるものですから、お位牌は何基つくっても構いません。
瑞華院(ずいけいん) 福井威人上人
東京・南麻布にある浄土宗の寺院、瑞華院僧侶。同寺院が運営する全室個室の都市型納骨堂「南麻布 了聞」では、館内の本堂(写真上)において朝夕のお勤めや日中の追善供養などを行う。「多くのかたが足を運んでいただける街に開かれた納骨堂でありたいとの思いから、『南麻布 了聞』では宗教・宗派を問わずに法要・供養を行っています」と福井上人。広尾駅から徒歩約3分という至便な立地と本物志向の空間が注目を集めている。 撮影/本誌・西山 航 取材・文/冨部志保子
『家庭画報』2021年10月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。