――そのきっかけは何だったのでしょう?
「被災地訪問です。ミュージシャンやシンガーの方達と違って、台本や監督やカメラがなければ何もできない自分に無力さを感じましたが、実際に被災地の方々にお会いしたら、皆さん、とても喜んでくださって。ああ、私はそういうお仕事をさせていただいているんだなと感じました。私が出演している作品を観てくださった方が、何かを感じてくださったり、この人に会ったんだよと喜んでくださったり。だから、お芝居をすることが自分の手段なんだと思うようになりました」
今年は日本テレビ『奥様は、取り扱い注意』で久々に連続ドラマに出演。主婦・大原優里を好演した。――今後の展望を教えてください。
「たぶん50代、60代になっても、考え方は変わっていないと思います(笑)。演じることが好きだから、満足することもないと思うし、ゴールがないからこそ、ずっと頑張っていける気がします。若い頃は、“あの人、おばさんになったね”と言われるのが嫌で、おばさんになったら女優をやめようと思っていたんです。でも、いつの間にか、自分が当時、おばさんだと思っていた年齢を悠に超えていました(笑)。当たり前ですけど、おばさんはおばさんなりにいいところがあるんですよ(笑)。そう思っていたら、犬童一心監督が“広末さんは年相応の役がずーっとできる女優さんだから、おばあちゃんになっても、きっとおばあちゃんを演じられますよ。またお仕事しましょう”と言ってくださって。今は、年を重ねることで可能性も広がるんだなと思っています」
※サイン入りチェキのプレゼント応募は、申し込みを締め切りました。 広末涼子/Ryoko Hirosue
俳優
1980年、高知県出身。1994年にCMデビューし、翌年ドラマ初出演。1997年に『20世紀ノスタルジア』で映画初主演。同作で映画賞の新人賞を総なめにし、以降、映画・ドラマ・舞台・CMなど第一線で活躍。出演映画『終わった人』が2018年6月9日より全国公開予定。
取材・構成・文/岡﨑 香 撮影/大靏 円 ヘア&メイク/山下景子 スタイリング/道端亜未