―そして、高校3年生でプロになったあと、早稲田大学に進学されましたね。
「奨励会を目指すとき両親と、『大学に行く』と約束したからです。ただ、高校時代って将棋が一番伸びるので、打ち込まなきゃいけない。だから、エスカレーター式で上まで行ける学校を中学受験しようと考え、早稲田実業学校中等部へ進みました。奨励会受験と中学受験の重なった小学6年生のときは、多忙でしたね(笑)」
―プロになってから、将棋で泣いたことはありますか?
「感激して泣いたのは、あれ(王座戦後の取材中)が初めてです。悔しくて泣いたのは、くすぶっていたここ数年ですけど、ふがいない将棋を指したときですね。その一局は、気持ちもふわふわしていて、負けそうだなというときに諦めぎみになって負けちゃったんですけど、後で振り返ってみると、実はチャンスがあったんですね。あそこでもうちょっと頑張っていれば違っていたかもしれないと思ったら、数年の振るわなさも相まって。まあ、盤の前で泣いたわけではなくて、家でですね」
―対局中、将棋以外のことを考えることはありますか?
「ずっと集中できるわけじゃないので、いろんなことを考えていますよ。“おなかへってきたな。そろそろ食事の注文を取りに来るかな”とか考えていますから。どこでぐっと集中に入るのかが大事です」
言葉を選んで、丁寧に話す中村王座。真面目なお人柄がうかがえます。背も高くて(180cm)スタイル抜群ですが、指まですらっと長めです(笑)。