古典的な訪問着には娘時代の華やぎ帯を
母から譲られた姫小松の訪問着は、どこに着ていっても「絶対に失敗しない!」鉄板の一枚。目上の方へのご挨拶まわりや、新春の舞台の楽屋見舞いなど、少し改まった印象で装いたい時に活躍します。
本来なら、淡い有職文様の帯を締めれば優等生コーディネートになると思うのですが、私はあえて娘時代のペルシャ風の袋帯を組み合わせます。きもの模様にごく小さく効かせた蘇芳色と帯の色彩が絶妙に響き合います。
一色采子/Saiko Isshiki
女優
日本画家の故・大山忠作氏の長女として東京都に生まれる。毎日をきもので暮らしたお母様のもとで、コーディネートや着こなしのセンスを磨き、現在はファッションのアイテムを取り入れながら独自のスタイルを楽しむ。趣味の日本舞踊や三味線、長唄では名取になるほど、古典芸能への造詣も深い。現在は、福島県にある二本松市大山忠作美術館の名誉館長や二本松市の観光大使も務める。
【連載】女優 一色采子の「母のタンス、娘のセンス」
撮影/岡積千可 ヘア&メイク、着付け/林さやか 構成・取材・文/樺澤貴子