〔今月の引き出し 2〕
新年を寿ぐ“ツネ”のきもの
前回の“ハレ”のきものに続き、今回は新年の普段きものについてお届けします。会食や女子会、仕事始めのご挨拶など……きちんと感がありながらも肩肘張らないシーンに活躍するのが、きれい色の万筋の江戸小紋。きものの柄行きが主張しないぶん、帯で存分にお正月気分を演出します。
お客様をお迎えする日は市松模様の染め帯で
飛翔する二羽の鶴を扇面に描いた父の作品を玄関に飾り、新年のお客様をお迎えします。 染めのきものには織りの帯と言われていますが、私は江戸小紋に染め帯をしっとりと合わせるスタイルがお気に入り。黒と金の市松模様に鳳凰の羽のような流線が描かれた帯は、随分と昔に紬屋吉平で誂えたものです。若い頃はこの帯を赤系の小紋などに合わせていましたが、今日は母の楊梅色の万筋の江戸小紋と一緒にまといました。帯締めは帯に馴染ませながら、帯揚げでお正月らしく晴れやかな色の足し算を。こんな風に新年の装いは、いつもより鮮やかな色を使います。
記念写真を撮影するのに、タンゴ(右)は男の子らしく堂々としているのですが、寂しがり屋の女の子のリンゴ(左)がなかなかカメラを向いてくれませんでした(笑) 。