中国料理の技が光る新進気鋭の和食「日本料理 研野」
メインのトマトソースがかかるソフトシェルクラブは、おこげと組み合わせて出すことも。ソースには上賀茂の完熟トマトを使用。手打ち麺とクリアな清湯(チンタン)の素ラーメン。「日本人になじんでいる味、これからなじむ味を日本料理ととらえると料理の幅はぐんと広がり、これに中華の手法を取り入れると油脂分やスパイスでおいしさの奥行きが生まれます」と話すのは、タブーなき日本料理に挑戦するご主人の酒井研野さん。
料亭「菊乃井」で10年修業した後、中国料理の名店「京、静華」などで和食以外の世界を経験。王道あり、新味ありの独創の和食を表現しています。
八丁味噌ベースの味噌床で下味をつけた京もち豚の叉焼。火鉢の上であぶって出し、さりげない和食と中華のミックスで嗅覚や視覚を刺激。秋は月を模した趣ある卵豆腐、続いて火鉢の上でたれ焼きにする叉焼(チャーシュー)が登場。お造りや焼き物も想像の上をいく調理で、終盤のソフトシェルクラブの料理やラーメンまで、驚きが連続します。先付とお椀は正統のままに。緩急に富んだ構成で五感を満たしてくれます。
卵豆腐に青森のブランドとうもろこし「嶽(だけ)きみ」のペーストを混ぜ合わせた、優しい味わいの月見豆腐。新しい和食を追求するご主人の酒井さん。近郊近海の食材を主に使い、生まれ故郷の青森の米やお酒、野菜にも注目している。日本料理 研野(にほんりょうり けんや)京都市左京区岡崎徳成町28-22
TEL:075(468)9944
営業時間:17時~、20時~の二部制 日曜・月曜定休
コース1万4300円 予約は前月1日からウェブで受け付け
撮影/蛭子 真 本誌・坂本正行 取材・文/西村晶子 ※営業時間や定休日は状況により変更になる場合があります。
『家庭画報』2021年11月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。