京都の醍醐味 第13回(全14回) 紅葉の美しい隠れ里の寺社、襲名展を控えた十六代樂 吉左衞門家、ラグジュアリーの中に伝統が息づく最新ホテル、伝統の味と新味が楽しめる料理店など、いつの日か訪れたい京都の“今”へご案内します。
前回の記事はこちら>> 京都で秋の美味を堪能する
京都の秋は旬の食材が目白押し。名残の鱧に松茸、紅葉鯛……。そして器に、あしらいに、秋の風情が盛り込まれます。長く培われた「伝統」の美味と料理人の創意が生んだ「新味」に出合える料理店をご紹介します。
板前割烹の嚆矢が洛中に館を構えて新生「京ぎをん 浜作(きょうぎをん はまさく)」
紅葉がテーマの11月の献立から。秋の山海の幸が出合う向付の鯛と焼き松茸。伊勢海老たたき寄せ、鶉くわ焼き、ゆば、粟麩オランダ煮を河井寛次郎の辰砂菱形食籠に。昭和2年に京都祇園に開業し、日本初の板前割烹スタイルを確立した「浜作」。創業地の祇園冨永町、八坂鳥居前下河原を経て、この夏、由緒ある新町通六角に移転オープンしました。
明治4年築の絹織物屋だった奥行きのある町家を改修した空間は、庭を備えた静寂の小天地。旧本店より移設した店の命ともいえる総檜の一枚板のカウンターに、ゆかりの深い建築家、村野藤吾デザインの椅子を合わせ、選び抜かれた絵画や書がしっとりと調和しています。
創業100年に向けてのステージともなる新店でも流儀は変わらず、「毎日一期一会の心持ちで、変化球なしの直球勝負が本領です」と話すのは3代目主人の森川裕之さん。カウンターは連日満席ですが、この秋、特別に読者のための席を設けていただきました。板場で一から仕立てる割烹の醍醐味を、心ゆくまで楽しむことができます。
焼きあなご、車海老、どんこしいたけ、ぎんなんが入った吹き寄せしんじょと松茸のお椀。もう一つの浜作名物特別料理教室への誘い
該博な知識と軽妙洒脱な話術で和やかな雰囲気を生む、3代目の森川裕之さん。平成3年にスタートして以来、のべ3万人を超える人が通い、今も順番待ちの人が100名を超えるほど人気の浜作の料理教室。板前割烹のスタイルはそのままに、ご主人の森川さんが料理の手順を披露し、明快でユニークなトークとともに京料理の伝統的な技法と浜作ならではの新しいセンスを学べます。料理は奇をてらわずなじみのある素材で作られますが、いずれも無類のおいしさ。なかでも季節がダイレクトに感じられる料理や定番にして素材がぐんと際立つ料理は、おもてなし料理にもなると生徒さんの間で評判です。
日本で最も参加困難ともいわれる料理教室ですが、来年1月より読者のための特別クラスが開設されることに。通常のクラスとは異なる献立が用意され、講習の後はゆっくり食事も楽しめる、学び多き特別な教室です。
教室の十八番メニューから。割烹仕立ての海老フライ。レタスと大葉のサラダをオランダ手の器に盛りつけ、タルタルソースとカクテルソースは別添えに。ひと手間で驚くほどおいしくなる飛龍頭、味の濃淡が秘訣の柿、利休麩、菊菜の白あえ。特別料理教室のご案内
2022年1月から12月までの第3土曜、奇数月、偶数月に分けて計6回の読者特別料理教室が開催されます。会費1回2万2000円。
詳細、お申し込みは以下のURLをご覧ください。
https://www.hamasaku.kyotoクラブ・オン・浜作のご案内この夏スタートした浜作が主宰する大人のための知的教養エンターテインメント。料理教室のオンライン閲覧をはじめ、本当の京都を体験できる特別企画に参加できます。
club-on-hamasaku.com「浜作」森川裕之さんの書籍が2022年6月に発売!
『愛蔵版 和食の教科書 ぎをん献立帖』を詳しくみる>> Information
京ぎをん 浜作
京都市中京区新町通六角下ル六角町360
- おまかせ4万9500円~(料理のみ) 要予約 読者特別席のご案内 下記の日程で特別席をご用意いただきました。公式サイトよりご予約ください。 2021年11月13日(土)、11月29日(月)、12月18日(土)、12月21日(火)
撮影/大道雪代 取材・文/西村晶子 ※営業時間や定休日は状況により変更になる場合があります。
『家庭画報』2021年11月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。