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がんになった医療者の治療選択と向き合い方。看護師 射場典子さん 第2回(前編)

2018.01.05

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抗がん剤治療による脱毛、吐き気、しびれ、全身倦怠感などに苦しむが、 先輩患者の体験に基づいた対処法にも助けられる


抗がん剤がよく効く例があり、術後に化学療法を行うのが基本


射場典子さんは聖路加看護大学(現・聖路加国際大学)で教鞭をとっていた42歳のとき、激しい下腹痛に見舞われ、聖路加国際病院で卵巣がんと診断されました。がんを発症した卵巣がおなかの中で破裂していたので、緊急手術を受けることになり、転移しやすいもう片方の卵巣と子宮を残すかどうかの選択を迫られます。

切除することは、妊娠・出産の可能性を完全に断たれることを意味しています。長い間子どもを望んでいた射場さんにとってつらい選択でしたが、この先も生きることを選び、がんに罹った卵巣とともにもう片方の卵巣、子宮、腹膜の一部である大網(たいもう)をすべて切除することを決めました。


この手術を無事に終え、術後の痛みも乗り越えて安心したのも束の間、今度は化学療法(抗がん剤治療)を行うかどうかの新たな選択が待ち構えていました。卵巣がんの治療は、ほかのがん種と同様に「診療ガイドライン」に則って行われています。診療ガイドラインとは、科学的根拠に基づいた臨床研究により、現時点で最もよいと考えられる診断法や治療法などをまとめたもので、「標準治療」とも呼ばれます。

日本婦人科腫瘍学会が作成した『卵巣がん治療ガイドラン 2015年版』によると、卵巣がんは抗がん剤がよく効く例があるため、ごく早期の高分化型がん(最も悪性度が低いがん)を除き、術後に「TC療法」と呼ばれる化学療法を行うのが標準治療です。パクリタキセルとカルボプラチンという2種類の抗がん剤を3~4週間ごとに点滴投与します。手術との併用でがんの治癒、縮小が期待され、生存期間が延長されることも証明されています。
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