withコロナ時代の健康術 第11回(03) withコロナの新しい生活様式で生きなければならないこの時代に、50代以降から衰えやすくなる器官や機能を取り上げ、健康を保つための方法を紹介します。今回は「呼吸」をテーマに本間生夫先生にお話を伺いました。
前回の記事はこちら>> 〔解説してくださるかた〕昭和大学名誉教授、日本情動学会理事長、安らぎ呼吸プロジェクト理事長
本間生夫(ほんま・いくお)先生
●前回の記事
心身の不調は呼吸から始まる。“要注意”の呼吸とは>>「いい呼吸」は姿勢から。胸を張り、背筋を伸ばす
「日常的に使っている筋肉の中で最も稼働している呼吸筋は、普段の生活の中でうまく使いながら強化していくのが効率的ですが、その前に姿勢について見直しましょう」と本間先生はいいます。
背中を丸めて猫背になっていたり巻き肩になっていたり首が前に突き出ていたりする姿勢は胸郭をしっかり広げられず、呼吸筋を十分に使うことができないからです。
「普段から胸を張り、背筋を伸ばして姿勢をよくすることを意識しましょう」と本間先生。
この姿勢を維持するには体幹を鍛えることが不可欠で、スクワットなどの筋トレにも積極的に取り組みたいもの。
また、呼吸筋の主となる肋間筋は持久性の高い赤筋(遅筋)で構成されています。
「このタイプの筋肉は酸素を多く取り込むことによって強化されるので、筋トレよりも有酸素運動が有効です。毎日の生活にウォーキングも取り入れましょう」。
さらに、生活の工夫として声を出して歌ったりリコーダーなどの楽器を吹いたりするのもおすすめです。
「大きく長く声を出すことは呼吸筋の働きを高め、いい呼吸を身につけるうえで重要です。歌うときは日本人の呼吸に最もフィットするリズムである七五調の歌(『荒城の月』など)を選曲するのもよいでしょう。呼吸をより安定させて心と体を整える効果が期待できます」と本間先生はいいます。
そして、リコーダーなどを吹くことで息を吐ききる力も高めていきましょう。
「呼吸機能の低下とともに息を吐いたときに肺の中に残る空気の量(機能的残気量)が増えてきますが、深くてゆったりとした呼吸をするには肺の中の空気をできるだけ出しきることが必要で、このトレーニングも欠かせないのです」。
呼吸筋を強化する日常生活の工夫
日常生活の中にも呼吸筋を強化して呼吸機能をキープするトレーニングとなるものがいろいろあります。ライフスタイルや好みに応じて取り入れ、楽しみながら実践していきましょう。
●お風呂で歌う●呼吸筋ストレッチを行う●リコーダーを吹く●ウォーキングをする