前ページでご紹介した呼吸筋を強化するための工夫に加え、日課にしたいのが呼吸筋ストレッチ体操です。
「かたくなった呼吸筋をほぐすことでしなやかな動きを取り戻し、胸郭を大きく動かして肺を膨らませられるようになります」と本間先生は呼吸への効果を示します。
また、東日本大震災の翌年、不安やストレスを抱える被災地の子どもたちに呼吸筋ストレッチ体操を実践してもらったところ、心身の不調の訴えが格段に減ったそうです。コロナ禍による不安や不調もきっと軽減してくれることでしょう。
1回5分、こまめに取り組むだけで「呼吸」が楽になる!
「いい呼吸」をつくる 呼吸筋ストレッチ体操
●吸息筋に作用「肩の上げ下げ」
※このストレッチは、吐息筋にも作用します。息をゆっくり吸いながら肩を上げる。
息をゆっくり吐きながら、肩を後ろに大きく回しながら下ろす。
●吐息筋に作用「体幹のストレッチ」
頭の後ろで両手を組み、ゆっくり息を吸う。
ゆっくり息を吐きながら腕を上に伸ばし、背伸びをする。
●吸息筋に作用「背中・胸のストレッチ」
胸の前で両手を組み、息をゆっくり吸いながら背中を丸め、腕を前に伸ばす。
ゆっくり息を吐きながら、元の姿勢に戻る。
●吐息筋に作用「胸壁のストレッチ」
腰の後ろで両手を組み、ゆっくり息を吸う。
息をゆっくり吐きながら、両腕を下方に伸ばし、胸を張る。
動画でレッスン!
呼吸筋ストレッチ体操 フルバージョン編
安らぎ呼吸プロジェクトでは、YouTubeで呼吸筋ストレッチ体操のフルバージョンを動画でご覧いただけます。
各ストレッチは3~6回実施してください。ストレッチをする時間が十分にとれないときは、吸息筋と吐息筋に作用するストレッチをそれぞれ1つずつ行いましょう。ストレッチの効果は、即時性はあるものの持続性はないので、空いた時間に1回数分程度をこまめに行うのがポイントです。
〔解説してくださった方〕本間生夫(ほんま・いくお)先生昭和大学名誉教授、日本情動学会理事長、安らぎ呼吸プロジェクト理事長。東京慈恵会医科大学卒業。医学博士。専門は呼吸神経生理学。1986年より昭和大学医学部第二生理学教室教授、2017年より東京有明医療大学学長を務める。文部科学省教科用図書検定調査審議会会長、日本生理学会常任幹事などを歴任。長年にわたり呼吸生理学を研究し、呼吸と感情の連動性を突き止める。『すべての不調は呼吸が原因』(幻冬舎)など著書多数。 取材・文/渡辺千鶴 イラスト/にれいさちこ
『家庭画報』2021年11月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。