ドイツ、魅惑のビール街道 第3回(全5回) ビールの醸造所が集まるドイツ・バイエルン州。ヨーロッパで活躍するオペラの演出家/プロデューサー、高島 勲さんが、ブルワリーを巡って1000キロの旅をしました。
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ドナウ流れる最古の修道院醸造所
ヴェルテンブルク修道院の起源については諸説あるものの、7世紀頃といわれている。ビール醸造の開始は1050年との記録がある。©Klosterbrauerei Weltenburg GmbHドナウ川が大きく蛇行する川辺に建つ修道院ヴェルテンブルク。今回私はこの修道院をハラタウのホップ畑を抜け、車で訪れました。
修道院内のアッサム教会の内部は名工アッサム兄弟による祭壇や壁画で飾られ、光の効果で息をのむほどの美しさです。この修道院では1050年からビールが造られており、修道院醸造所としては世界最古。現在はレーゲンスブルクにあるビショフスホーフ醸造所の傘下にあります。また昔の宿坊は、現在はホテルとなっています。
中庭に面した醸造所と岩場をくり貫いて造られた自然石のセラーなどを、醸造マイスター、ファビアン君の丁寧な案内で見学。
最後に瓶詰め間近の「アッサム・ボック」を試飲させてもらいました。絶妙な苦みと甘みのバランスに加え、その喉越しのよさと爽やかな香りに感動を覚えました。
伝統が若者に受け継がれていくドイツのマイスター制度の素晴らしさとビール文化の奥深さがそこにありました。
黒い森に源を発するドナウ川が最も狭くなる渓谷の河畔に建つ修道院、ヴェルテンブルク。修道院の醸造所としては世界最古の1050年創業。©www.bayern.by - Peter von Felbert下の写真をスクロールして詳しくご覧ください。 取材・文(ドイツ国内)/高島 勲 協力/バイエルン州駐日代表部、ドイツ観光局 構成・文/三宅 暁(編輯舎)
『家庭画報』2021年11月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。