再発のリスクが高い時期は体調を優先することも考える
半年にわたる術後化学療法を終えると、射場さんは看護大学の教員職に復帰しました。ところがまもなく、緊張を強いられる職場で以前と同じように仕事を続けていくにはエネルギーが足りないことを痛感するようになります。
「看護実習の指導では学生だけでなく患者さんにも気を配らなくてはなりません。そのときの体力・気力では患者さんにも学生にも中途半端なかかわりしかできなくなると、教えることが心底好きだっただけに苦しみました」と射場さんは当時の心境を打ち明けます。
そして、再発リスクが高い時期は体調を優先するようにとの周りからのアドバイスもあり、退職を決意します。「病気になって本当に家族の大切さに気づかされました。職場で私の代わりになる人はいるけれど、家族にとってはいないのだと思えたとき、今、何を優先すべきなのかおのずと答えが見えてきました」。
とはいえ、一生続けるつもりだった大好きな看護の仕事ができなくなるのは、身を切られるほどつらいことでした。暗闇をさまようような日々を過ごす中、射場さんに一筋の光が差し込んできます。それが「健康と病いの語り ディペックス・ジャパン」との出会いでした。