幸福長寿に導く5つの活 第14回(全16回) 「幸福長寿」の決め手は、健康寿命をいかに延ばせるかということ。そして、それは自分でも心身の衰えを感じるようになった今からの生活の過ごし方とも深くつながっています。“現在の私と未来の私”のためのセルフメンテナンス法をご紹介します。
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お悩み別脳活トレーニング法!
〔お話ししてくれたのはこの方〕加藤俊徳先生加藤プラチナクリニック院長 「脳の学校」代表・脳内科医。昭和大学客員教授。1995~2001年、米国ミネソタ大学にてアルツハイマー病などの脳画像研究に従事。独自開発した加藤式脳画像診断法を用いて小児から超高齢者まで1万人以上の診断・治療をする。脳番地を刺激して、脳と心の元気を取り戻す
脳の8割を占める大脳では、同じような働きをする神経細胞が集まり、その領域ごとに役割を持つことが明らかになっています。こうした考え方は「脳機能局在論」と呼ばれ、加藤先生はこの概念を一般の人にわかりやすく伝えるために「脳番地」という表現を用いた考え方を提唱しています。
加藤先生の分類では、人の性格や行動に強い影響力を持つ大脳領域は大まかに8系統に分かれます(下の図参照)。
8系統の脳番地の場所と役割複数の脳番地は連携しながら機能しており、そのネットワークが緊密であればあるほど脳の機能は強化される。
1. 思考系脳番地…自発的な考えや発想、行動を促す
2.感情系脳番地…喜怒哀楽などの感情表現にかかわる
3.伝達系脳番地…自分の気持ちや考えを人に伝える
4.運動系脳番地…体を動かすこと全般にかかわる
5.理解系脳番地…物事を理解したり推測したりする
6.聴覚系脳番地…耳で聞いたことを脳に集める
7.視覚系脳番地…目で見たことを脳に集める
8.記憶系脳番地…情報を脳に定着・蓄積させる
『脳とココロのしくみ入門』(加藤俊徳著・朝日新聞出版刊)を参考に作成「物忘れがひどくなったり、言葉がすぐに出てこなかったりするのは、それらに関連する脳番地を使わなくなり、その機能が弱っているからです。このような悩みを解消するにはライフスタイルを見直したうえで、日常の行動や作業の中で弱っている部分を積極的に刺激し、脳の働きを強化することが肝心です」と加藤先生はアドバイスします。
また、脳全体の活性化を促すには、深い眠りと適度な運動も欠かせないといいます。「1日7時間の睡眠を確保し、1時間以上の運動にも取り組みましょう」(加藤先生)。