珠玉の音楽で紡ぐ悲恋
©Susesch BAYAT/DG敵対するグループに属する男女の悲恋を描いた『ウエスト・サイド・ストーリー』。2021年12月、スピルバーグ監督が手がけた新しいミュージカル映画が公開されることから話題となっている。
そこで改めて、本作の大ヒットに重要な役割を果たしたレナード・バーンスタイン作曲の音楽を聴き返したい。
若き日のバーンスタインは、指揮者として評価を高める一方、交響曲や歌劇も積極的に世に発表していた。
「ウエスト・サイド・ストーリー」を書いたのは、彼がニューヨークフィル常任指揮者に就任する前年の39歳の頃。1957年に初演されると音楽も人気を集めた。「トゥナイト」「サムホエア」「マンボ」など珠玉のメロディの宝庫だ。
彼は50代を迎えた頃、指揮活動を抑え、作曲に費やす時間を増やそうとした。その理由は、“バーンスタインといえばウエスト・サイド”といわれるのを嫌い、これを超える曲を書こうとしていたためだといわれる。
実際「キャンディード」や「波止場」など優れた作品はほかにもある。しかしやはり、音楽で物語や人物の心情を見事に描写する「ウエスト・サイド・ストーリー」の完成度は、特別だ。
レナード・バーンスタイン/Leonard Bernstein(1918~1990)アメリカを代表する指揮者、作曲家、ピアニスト。1943年、急病のブルーノ・ワルターの代役を務めて注目を集めたのち、指揮者として名声を高める。同時に作曲家としても数々の名曲を残した。
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[CD]
『バーンスタイン:ミュージカル《ウェスト・サイド・ストーリー》』
UCCG-52087 1870円バーンスタイン自らタクトを振り、テ・カナワやカレーラスなど一流オペラ歌手を起用した、1984年9月のスタジオ録音。作曲家の意図が存分に反映された名盤として知られる。
[出演]
キリ・テ・カナワ(マリア:ソプラノ)、ホセ・カレーラス(トニー:テノール)、タティアーナ・トロヤノス(アニタ:メッゾ・ソプラノ)、カート・オルマン(リフ:バリトン)、マリリン・ホーン(歌手:アルト)ほか
『バーンスタイン:《ウェスト・サイド・ストーリー》メイキング・オブ・レコーディング』
UCBG-9329 1980円上記のレコーディングの舞台裏をつぶさに記録したドキュメンタリー。バーンスタインの語りや歌手たちのインタビューを収録。
『バーンスタインへのトリビュート』
AVCL-25949 2200円晩年のバーンスタインに薫陶を受けた指揮者の佐渡 裕が、音楽監督を務めるトーンキュンストラー管弦楽団と、師の代表作を録音。熱い演奏が収められている。
[収録曲]
「キャンディード」序曲、ミュージカル「ウエスト・サイド物語」より「シンフォニック・ダンス」、交響組曲「波止場」ほか
表示価格はすべて税込みです。
構成・文/高坂はる香
『家庭画報』2021年12月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。