写真/PIXTA正しい販売員、ダメな販売員
正しい販売員、これは簡単。「ジュエリーが好きな人」です。
「好きじゃないけど、金儲けのためにジュエリーを扱う人」、こういう人が実は大変多いのです。親から店を譲られたから、学校を出て宝石企業に入ったから、なんとなく、などなど、理由はいくつもありますが、好きじゃない、強い関心がない……そうした人で良い宝石商になった人を私は知りません。
ダメな販売員の特徴は、何でも勧める、見境なく褒めることです。例えでいいますと、丸いジュエリーが似合う人に、真四角のジュエリーが合うわけはありません、ですがダメな販売員は、お客様が真四角にちょっとでも触ったりすると、それも褒める。まともな販売員なら、「それはちょっとお客様には違います」というはずです。
つまり良い販売員とはお客様にとって嫌なことをきちんと言える人なのです。少ないです、こういう販売員は。
これはお客様にも原因があります。嫌なことは聞きたくない、世間で言う“お客様は神様だ”ということを信じている方は結構いらっしゃいます。この言葉は小売商の自戒の言葉であって、それを信じて神様として振る舞われてはいけません。
後の回で正しい買い方については詳述しますが、これほどお客様にとって損なことはないのです。ダメと言ってくれる販売員は、基本的には良い人だと思いましょう。
私はかつて数百人を超える販売員と一緒に仕事をしていました。その経験からいうと、優れた販売員はどちらかと言えば寡黙な人が多いと思います。色々な小売店とも付き合ってきましたが、おしゃべりな社長のお店にはおしゃべりな店員がいます、これは事実ですね。
そして多くの場合、その社長以下販売員の人々がお客様に話していることの多くは、横から聞いていても憮然とすることが多いのです。
一つの指標に過ぎませんが、こんな台詞を社長なり店員なりが言う店はできれば避けたほうが良いでしょう。