こんな台詞は要注意!
1. 社長が原産地まで行って買い付けてきました、だから安い。
2. この宝石は近くなくなる、買うなら今です。
3. この宝石は将来値上がりする、買うなら今です。
4. 資産としての価値がある、投資に向いていますよ。
5. ウチは流通経路を短縮した店だから安いのです。
どうです?1回くらいは聞いたことがあるでしょう。こうしたお店ほど自分に都合の良いことはべらべらと喋りますが、お客様が本当に知りたいと思う専門的なことを聞くと、まともに答えられないはずです。
写真/PIXTAデザイナーズブランドの良し悪し
さて最近、個性化という名のもとに、ジュエリーデザイナーが自分で商品を作り、自分で売るという「デザイナーズブランド」のジュエリーが増えてきました。
数も大変に増え、ここでも女性の進出が顕著で、80%以上は女性です。どのデザイナーが良いの?とよく聞かれますが、私見を述べましょう。
デザインの基本は「個性」です。つまり良いジュエリーを作るデザイナーであるためには良い個性が必要です。しかし良い個性というものはそうあるものではない。ですから良いデザイナーズジュエリーもそう沢山はないのです。
多くのデザイナーズジュエリーは、個性もない手垢のついた作品を、勝手な能書をつけて売り出しているに過ぎないのです。 そうは言っても、何が“個性のある良いジュエリー”で、何が“能書ばかりのジュエリー”なのか、その判断は一般の方には難しい。
ですから私は、見分けの方法として、良いセールスマンの判断と同じことをお伝えしましょう。――寡黙さ、です。
私は、自分のジュエリーについてとうとうと喋る人の作品を、「この方の作品は、たくさん喋らなくては理解されないジュエリーである」と考えることにしています。
ジュエリーの基本は美です。美しいもの、それがジュエリーですから、説明されなければ分からない美は美ではない、と私は思っています。
これはいささか大胆な判断かも知れませんが、私の私的な経験からいっても、寡黙なデザイナーのものであまり大きくないジュエリーが優れているような気がします。大きいジュエリーと言うのは、目立とうという気持ちから作られるものが多く、概して優れたものは少ないのです。 偏見といわれるかもしれませんが、寡黙であまり自分のジュエリーについて語らない人の、小振りなジュエリーを選ばれるのが、いまの日本のデザイナーズジュエリーの賢い買い方かもしれません。
いかがでしたか?「ジュエリーお買い物学」次回は、2月第2週に配信予定です。お楽しみに!