スポーツ選手では10代から骨量が低下することもある
新型コロナウイルス感染症のパンデミックは私たちの生活を大きく変えました。この「with コロナ時代の健康術」では多様な健康への影響を取り上げてきましたが、さて、骨に対しては、コロナ禍はどんな影響があるのでしょうか。
日本産科婦人科学会専門医であり、日本スポーツ協会公認スポーツドクターでもある東京大学医学部附属病院女性診療科・産科の能瀬さやか先生は、日本の国公立大学で初めて女性アスリート外来を開設し、診療を担当しています。
「骨量と関連する運動について考えてみると、例えば、リモートワークで通勤しなくなって歩く時間が減った、外出を控えて運動不足になったという人もいれば、運動の時間を捻出できるようになったという人もいるでしょう。ただ、骨量は年単位での変化になるため、新型コロナウイルス感染症のパンデミックに伴い生活様式が変わったことによる骨量の増減は今のところはわかりません。たとえ変化があったとしても、それがコロナ禍の影響であると明確に示すことは難しそうです」と話します。
能瀬先生はオリンピックやパラリンピックに出場するような日本を代表する運動選手をはじめとして、10代から強度のトレーニングを行い、運動量に対して食事からのエネルギー摂取が少ないために月経不順や無月経、低体重になり、若くして骨粗しょう症になった、あるいは疲労骨折を繰り返す患者さんを多く治療しています。
今月の本連載では、骨粗しょう症や骨折といった骨の健康問題、なかでも女性ホルモンとの関連について、能瀬先生に教えていただきます。
・次回〔閉経や加齢が大きなリスクに。「骨粗しょう症」の誘因と起こりやすい部位〕に続く(12/10公開予定)
取材・文/小島あゆみ
『家庭画報』2012年12月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。