骨に刺激を与える運動を継続するのがおすすめ
骨芽細胞を活性化して、骨の形成力を保つためには運動が欠かせません。
自転車こぎやスイミングのような重力がかかりにくい運動よりもウォーキング、ジョギングといった足に衝撃がある運動のほうが効果的です。球技のように動き回るものも効果大。
「その場で何回かジャンプするだけでも骨への負荷になります」(能瀬先生)。
ヨガやストレッチのような筋肉を伸ばす動きもよい刺激になります。太陽光に当たると、カルシウムの吸収を高めるビタミンDが皮膚で作られるので、散歩や外で行うスポーツもおすすめです。
ただし、運動中に転倒して骨折する人も多いため、注意しながら行いましょう。バランスをとる運動は、手すりや椅子、テーブルなどすぐにつかまれるもののそばで行うのが安心です。
「同年齢の平均値くらいの骨量をキープするためには、適切な体重を保つことも重要です。低体重で骨粗しょう症気味の人が急に負荷の大きい運動を始めるのはかえって骨折をする危険性があります」と能瀬先生。
一方で、生活習慣病のリスクを考えると過体重で肥満になるのもNG。骨のためにもダイエットしすぎず、適正な体重を保つようにしましょう。
「骨量を減らさない」という意識を持って、こまめに運動を
骨粗しょう症と転倒を予防する運動
骨に重力をかけることで骨の形成が進むため、骨に適度な衝撃を与える運動が骨粗しょう症を防ぐ。
一度に繰り返し行うと骨や関節、筋肉を痛める可能性があるので、1日に数セットずつに分けて無理をせずに継続を。
転倒予防として行う片脚立ちやスクワットも骨へのよい刺激になる。その場でのジャンプ、ジョギング、ウォーキング、球技などもおすすめ。
●骨に刺激を与える運動
【かかと落とし】脚を肩幅くらいに開き、前を見てまっすぐに立つ。つま先で立った後、かかとを勢いよく下ろす。バランスをくずしたときにつかまれるよう、椅子や机、手すりなどのそばで行うと安心。
【しこ踏み】
脚を肩幅くらいに開き、腰を落とす。片脚を上げ、下ろす。反対側の脚も同様に上げて下ろす。手は浮かせても脚に添えてもよい。転倒に気をつけよう。
【背筋運動】
うつぶせに寝て、おへその下のあたりに衝撃を吸収するクッションなどを入れる。両手を後ろに伸ばし、胸を少し浮かせるように上半身を持ち上げ、10秒ほどキープ。
●転倒を防ぐ運動
【スクワット】
脚を肩幅よりもやや広く開き、つま先を30度くらい外側に向ける。ゆっくりと膝を曲げて腰を落とす。膝がつま先より前に出ないように注意。またゆっくりと膝を伸ばしてもとに戻す。
【片脚立ち】
片脚を10センチほど上げ、1分間そのままで立つ。反対側の脚も同様に。椅子や手すりなどにつかまれる場所で行う。
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http://femaleathletes.jp/online/online.html 〔解説してくださった方〕能瀬さやか(のせ・さやか)先生東京大学医学部附属病院 女性診療科・産科。2003年北里大学医学部卒業後、同愛記念病院で研修、2006年に東京大学医学部産婦人科学教室に入局。同大学医学部附属病院・女性診療科・産科、実家である八戸クリニック産婦人科、国立スポーツ科学センターメディカルセンターなどに勤務。2017年から現職となり、女性アスリート外来を開設。日本産科婦人科学会専門医。