対面診療と組み合わせて、新薬の処方もより便利に
しかし、医師と患者さんが実際に顔を突き合わせて行う対面診療が重要なことはいうまでもありません。
関節リウマチは触診によって得られる所見が大事な診断材料となります。患部を触ったときの熱感、腫れや痛みの程度などによって状態のよしあしが判断されるからです。
したがって“触診や血液検査が必要なときは対面診療で、それ以外はオンライン診療で”と両者を適切に組み合わせることで“診察に支障をきたすことなく、患者さんの通院負担を減らす”という一見難しく思える両立が可能になるのです。
「比較的安定している症状の確認や薬の処方のためだけにわざわざ病院に足を運ぶのは相当なストレスになりますね。また、新薬の場合、1回14日分を限度とする投薬期間制限があり、患者さんは半月に一度の通院が必要になります。定期的な対面診療は必要ですが、一部をオンライン診療で補うことができれば、患者さんはより新薬を利用しやすくなるでしょう」(山岡先生)
新たな治療法の開発に向けて、テクノロジーの未来に期待
関節リウマチの治療法はここ20年の間に飛躍的に進歩しました。しかし痛みやだるさなど自覚症状の軽減には十分反映されていないのが現状です。
患者さんのつらさを完全に共有できないもどかしさを抱えつつ、山岡先生はオンライン診療の先にある未来に大きな期待を寄せています。
「オンライン診療のシステムに新たな機能を付加すれば、睡眠時間や心拍数、天候や気圧などの情報を総合的に効率よく集めて記録・解析し、症状との因果関係を見いだすことができるのではないか―。その先にある新たな治療法の開発、さらに“病気を治す”という夢への第一歩として、まずはオンライン診療というテクノロジーを用いたシステムを“はじめること”が大事だと私は考えています」(山岡先生)
オンライン診療中の患者さん。主治医と画面を通して顔を合わせながら安心して話すことができる。●お問い合わせ
ギリアド・サイエンシズ
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https://www.gilead.co.jp/ 撮影/本誌・西山 航 取材・文/浅原須美
『家庭画報』2022年1月号掲載。この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。