「マテリアルコーディネート」が家具選びの出発点にさらに最近では「マテリアルコーディネート」が家具選びの出発点になっています。どのブランドのプレゼンテーションでも、家具は単品で選ぶのではなく、サイドテーブルから照明に到るまで、素材やフォルムのバランスを考えて、空間全体で組み立てるという考え方が強調されていました。
イタリアでは一般のユーザーが革や布など椅子の張り地、オープンキッチンのカウンター材まで、家具やインテリアに使うマテリアルも、服地のように楽しんで選びます。同じ椅子でもツートーンでカラーの張り分けをしたり、ソファと床の色のバランスを見て張り地を選ぶなど、そのまま「もの」を買うのではなく、自分らしさをインテリアで表現する時代になっています。
「サステナブル」の波も到来さらに今年は「サステナブル」の波も家具の世界に到来しました。製品は従来のモデルでも、成分を大きくチェンジするなど、環境に配慮した素材の使用をアピールする企業が増えました。海洋のゴミを再生した樹脂素材や、製造時に出る端材のアップサイクル、生育に配慮した木材の使用、ビーガンレザーなど、食材のように素材の出自をアピールするメーカーも増加。真のラグジュアリーとは、地球の未来に配慮した製品を選ぶこと。その風潮は間違いなく定着するでしょう。
世界経済がふさぎ込む中、「今年サローネを開催したことが素晴らしい」。そんな声が多く上がりました。この先に未来がある。デザインや家具が希望を与えた、勇気ある開催でした。
フォトギャラリーで詳しく見る 取材・文/本間美紀 Photo credit= Courtesy Salone del Mobile.Milano:Andrea Mariani,Diego Ravier, Francesco Rucci, Luca Orsi 取材協力:ミラノサローネ国際家具見本市
https://www.milanosalone.com/『家庭画報』2021年12月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。