――猛夫には現段階でどんなイメージを持っていますか?「真っすぐな男、です。魔子さんへの気持ちとか、父親に対する複雑な思いとか、きっと稽古をしていく中で感じることが多いんだろうなと思います。とても共感を覚えたのは、“あなたを作ったのは、お父さんなんかじゃない。あなた自身なんだから”という魔子さんの台詞です。僕も、父(元プロ野球選手の山田和利氏)のことを尊敬しながらも、かなりコンプレックスを持っていた人間なので。自分のそういう経験は猛夫をやるうえでプラスになると思うので、演出の眞鍋(卓嗣)さんとディスカッションしつつやっていけたらなと思っています」
――役柄によって、まったく違う表情を見せる山田さん。役を演じる際には、いつもどんなことを心がけているのですか?「いつも“魂まで変われ”“俺、消えろ”と思ってます。“お芝居”にはしたくないんです。“役を生きている”状態、その役として自然に動いて言葉を発している状態が理想なので、まずは役のことを徹底的に考えます。たとえば今回だったら、猛夫はどんな息をして、どういう歩き方をするんだろう? なぜこう思って、こういうことを言うんだろう?というふうに。ただ、周りは大変だと思います。僕は一度作品に入ると、その事しか考えられなくなるタイプ。作品ごとに自分の人格みたいなものまで変わってしまうみたいで、マネージャーさんや周りの方々には“その都度、付き合い方を考えないといけないんです”と言われます(笑)」
――まさに魂ごと変わる感じですね。作品や役柄の切り替えは、どうしているのでしょう?「自分でもよくわからないんです。ただ、現場それぞれに違う空気があるので、現場に行くと自然と切り替わるところがあるし、役の衣装を着てメイクをしてもらうとスイッチが入りますね。だからメイクさんや衣装さんをはじめ、現場の方々には本当に感謝してます。僕が立て続けにいろいろな役をやらせていただけるのも、現場の皆さんのおかげです」
舞台はこれまで5作品に出演。「僕はまだ舞台が怖いです。ずっと野球ばかりやってきた人間が、急にサッカーをやるような感覚があります」。