終末期医療において、「人生の最期を、病院ではなく住み慣れた自宅で迎えたい」と願う人は少なくありません。では具体的に何をどうすれば、家族や本人がこの願いを現実とすることができるのでしょうか? 2021年11月に刊行された『在宅死のすすめ方 完全版 終末期医療の専門家22人に聞いてわかった痛くない、後悔しない最期』(世界文化社)より一部を抜粋して、在宅死について考える集中連載〈前編〉をお届けします。
「最期は病院で迎えるもの」が当たり前だった時代は今や変わりつつある
自宅で最期を迎えたいと思っている国民は約7割。「住み慣れた場所で最期を迎えたい(72%)、「最期まで自分らしく好きに過ごしたい」(63%)「家族等との時間を多くしたい」(51%)などが主な理由です(複数回答)。
では実際に、どのくらいの人が在宅死を選んでいるのでしょうか? 2019年に自宅で亡くなった人は約14%。およそ7人に1人。70年前の日本では、かつて8割以上が自宅で最期を迎えていました。
1980年頃には在宅死と病院死の割合が逆転。7割以上が自宅での最期を希望しているにもかかわらず、病院で亡くなる時代が30年以上続きました。
しかし、日本はすでに超高齢社会。好むと好まざるとにかかわらず、病院以外の場所で最期を迎えるケースが増えていきます。その兆候は出始めていて、2005年をピークに病院死の減少傾向が続いています。
●約7割が「自宅」を希望
「どこで最期(※)を迎えることを希望しますか?」
※人生の最終段階を「末期がん」と想定。痛みはないけれど、食事や呼吸が不自由で、意識や判断力は健康なときと同じ場合という設定(回答者数504人)
出典:厚生労働省「平成29年度人生の最終段階における医療に関する意識調査報告書」●死亡場所の推移
参考:厚生労働省「人口動態統計年報」を基に作成