夢と憧れの宇宙旅行時代へ 宇宙画報 第3回(全9回) 気宇壮大な夢物語でしかなかった民間宇宙旅行が、遂に現実のものとなりました。今、注目の民間宇宙旅行の現在進行形を追いました。
前回の記事はこちら>> ISS(国際宇宙ステーション)長期滞在を終えて帰国した野口聡一宇宙飛行士に聞く。「今、宇宙に生き方のヒントがある」
制約の多い宇宙での生活が、私たちに教えてくれるものはたくさんあります。2020年11月から5か月半にわたり国際宇宙ステーションに長期滞在を果たした野口さんに、閉塞感漂うコロナ禍の時代に生きる私たちに、宇宙的視点から生き方のヒントをいただきました。
「困難なときほど、アイスブレイキング(ひと言で笑わせる力)が必要です」野口聡一
のぐち・そういち 1965年神奈川県生まれ。東京大学大学院修士課程修了。石川島播磨重工業を経て、96年NASDA(現JAXA)に入社。2005年7月スペースシャトル「ディスカバリー号」、09年12月~10年6月日本人初のロシア宇宙船「ソユーズ」、20年11月~21年5月民間の新型宇宙船「クルードラゴン」に搭乗し、3度の宇宙滞在を成功させる。現在、米国ヒューストンに単身赴任中。3女の父。撮影/笹口悦民〈SIGNO〉踏み出すことで人は世界とつながることができる
地上から400キロ離れた宇宙に浮かぶ国際宇宙ステーションは、今や快適な通信環境で地上と結ばれ、画像や動画の送受信もスムーズに行えます。そのため、我々乗組員は滞在中、地上スタッフと毎日打ち合わせをし、指示を確認してから仕事をしていました。
つまり、宇宙ステーションでの勤務は“究極のテレワーク”なのです。とはいえ、宇宙ですから、気分転換に外出というわけにはいきません。約半年間の滞在中は、ストレスや孤独を感じることもありました。
そこで私は、週末などの余暇を利用して日本の友人たちによく電話をかけました。英語が中心の日々の中で、友人たちと日本語で話す時間は、何よりのリフレッシュになったものです。大切なのは「自分はいつでも世界とつながることができる」という気持ちを持つこと。そのうえで、お互いの心情に共感することだと思います。
野口さんによる人類初! 船外活動自撮り動画
野口宇宙飛行士のYouTubeから引用今回、野口さんは船外活動中のYouTube動画自撮りを行い、その日のうちにYouTubeチャンネルに配信するという人類初の快挙を成し遂げた。
まさに正真正銘の「ウーチュー(宇宙)バー」である。野口さんが持つ大いなる発信力と関西ゆずりのサービス精神が、SNSを通じて宇宙と私たちをつなげてくれた。