普段づかいできる丈夫さの秘訣は、均等に何度も漆を塗り重ねる職人技
小鉢として、大根と菊菜の炊き合わせを盛りつけて。口縁が広くやや浅いつくりで、料理が盛りやすい。
秋田県の南端に位置する川連で漆工芸が行われるようになったのは、鎌倉時代に奥羽山脈の豊富な木材と漆を利用して、領主小野寺重道の弟・道矩(みちのり)が家臣たちに漆を武具に塗らせたのが始まりといわれています。
本格的な生産が始まったのは元和から元禄にかけての頃。江戸時代中期になると他藩にも販路が開かれ、藩の保護のもと盛んに製作されるようになりました。
川連漆器は、その丈夫さから普段づかいに適した漆器として知られています。丈夫さの秘密は大きく二つあり、一つ目は「横木取り」と呼ばれる木地の取り方です。木目が横になるように木地を切り出してろくろで成形することで、上下からの衝撃に強い器になります。
そして、塗りの下地には柿渋を用い、その後漆を厚くかつ均等に何度も塗ることで、ほかにはない堅牢な漆器に仕上がりに。刷毛目を残さない光沢の控えめなでき上がりも特徴的です。使い込むほどになめらかなつやが生まれ、そこには毎日使うごとに愛着のわく、身近な器としての醍醐味があります。
漆を塗って乾燥させる工程を何度も繰り返すことで、毎日使っても漆が薄くならない丈夫な器ができ上がる。
塗りを施した器は、「室むろ」と呼ばれる木製の棚の中で乾燥させる。室の中は、漆の乾燥に適した温度・湿度を保ち、しわやむらが生じるのを防ぐ。
家庭画報×川連漆器 蓋付き飯椀のご購入方法
「蓋付き飯椀」直径約12×高さ約9センチ 1万2000円(税・送料別)。購入をご希望のかたは、直接「秋田県漆器工業協同組合」にご注文ください。ご注文はFAXにてお願いいたします。FAX:0183(42)2633
※ご注文が確定してから製作するため、商品のお届けにはお時間がかかります。また、商品は一つ一つ手作りのため、仕上がりが写真とは少々異なる場合があります。
秋田県漆器工業協同組合川連漆器の普及に努め、現代の家庭で使いやすい新たな漆器の提案を行う。
秋田県湯沢市川連町字大舘中野142-1
TEL:0183(42)2410
表示価格はすべて税抜きです。
撮影/角田 進
「家庭画報」2018年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。