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新春、祇園ならではの手土産を求めに。晴れやかな「鍵善良房」のお年賀菓子

2021.12.16

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祇園 鍵善 迎春菓子ごよみ 京都・祇園に店を構える享保年間(1726年)創業の老舗「鍵善良房」。四季の移ろいや、京の美を映し出す京菓子を店頭に並べ、地元のお客さま、茶人やお寺関係、観光客と幅広い層に人気を得ています。今も昔も変わらぬ、新年の鍵善を訪ねました。前回の記事はこちら>>

愛らしく、晴れやかに
祇園ならではの寿ぎのお年賀菓子


園の賑わい・新春

「園の賑わい・新春」
年に数回、四季と新春で意匠や色合いが替わる、祇園の華やかな様子を表現した干菓子や半生菓子の詰め合わせ。松竹梅や鶴亀、宝船、結び、干支にちなんだものを、落雁やゼリー、そしてゼリーをはさんだ麩焼きなどで表現している。


年末賑やかだったお店は元日と2日に休み、3日から新春の装いでお客さまを迎えます。年明け早々に訪れるのは八坂神社の参拝客やお年賀のお菓子を求めるおなじみさんたち。

正月用の暖簾で店先を整えるご主人の今西善也さん

正月用の暖簾で店先を整えるご主人の今西善也さん。

長年作り続けている定番から新春用のお菓子までをスタッフが美しい箱詰めにして整え、おつかいものやお土産の要望に応えます。

毎月しつらいが替わる喫茶

毎月しつらいが替わる喫茶も新春の趣に。「一ふじ 二たか 三なすび」の軸は熊谷守一筆(左)。

上菓子屋仲間の御定書

屋号である「鍵屋」が記されている慶應4年の上菓子屋仲間の御定書。

「いつも心がけているのは、繊細で柔和、作り込みすぎず自然な感じのざんぐりとしたお菓子です。花街の中にある菓子屋らしいあでやかさや可愛らしさも大事にしています」と今西さん。

なかでもひときわ目を引くのが「園の賑わい・新春」(最上部写真)。おめでたい柄やお正月を思わせるもの、干支にちなんだものなどを写した干菓子を詰め合わせた鍵善の定番です。

園の賑わい・新春

左:干菓子の素材の落雁は淡さや華やかさを求め、職人の技と感覚で色が加減される。 右:少し楕円で花びら一枚一枚に向きや表情がある「菊寿糖」。徳島・阿波の和三盆製。

また、気軽に人に渡せるお年賀菓子として年末だけに販売されるのが、かわらけに縁起物を盛った「七寿づくし」。

七寿づくし

梅干し、ごまめ、結び昆布、豆、かち栗などの7つの縁起物がかわらけにのる「七寿づくし」。

三が日の後も芸舞妓が一年の精進を誓う7日の始業式や十日えびすのお祭りあたりまでは賑わいが続き、15日を過ぎるとお正月気分もそろそろ終わり。ここからは春を待つお菓子に替わり、静かで底冷えのする京都も少しずつ春へと向かいます。

和菓子の美と技に触れる
美術館、カフェ、書籍を通して花街・祇園の文化を発信


店を継いで以来、常に鍵善らしいお菓子と店づくりを考えてこられた15代目主人の今西善也さん。和菓子の本質を磨きながら、もう一つ大事にしてきたことが花街・祇園で生まれ育った芸術文化の継承と発信です。

「ZENBI」の1階展示室柔らかな光と土壁に包まれた「ZENBI」の1階展示室。

地元の人や作家たちと想いを重ねながら新しい和菓子を楽しめる大人のカフェ「ZEN CAFE」をつくり、その向かいに美術館「ZENBI」をオープン。

現在、和菓子の道具の木型を紹介する展覧会を開催し、2021年12月には今西さんの初の著書『祇園 鍵善 菓子がたり』が刊行されました。

「美しいお菓子の木型 —手のひらの宇宙」展

「美しいお菓子の木型 —手のひらの宇宙」展

和菓子店の宝物であり、打ち物を作るのに欠かせない木型。鍵善良房が代々受け継いできた木型をはじめ、今は使われていない意匠を凝らした木型、注文に合わせて作られた近年の木型などを展示。さらにこの木型職人たちの現況など、貴重な資料も紹介します。

ZENBI—鍵善良房
—KAGIZEN ART MUSEUM

〜2022年4月3日(日)
住所:京都市東山区祇園町南側570-107
TEL:075(561)2875
URL:https://zenbi.kagizen.com/exhibition/
※〜2022年1/16、1/18〜2/27、3/1〜4/3の3会期で展示替え。

 

新刊のお知らせ


祇園 鍵善 菓子がたり

『祇園 鍵善 菓子がたり』
定価:3850円 2021年12月中旬刊行予定。


祗園とともに歩んできた「鍵善良房」。現当主・今西善也さんの書き下ろしによる美麗な京都の菓子ごよみ12 か月、意匠美、老舗のこだわりが待望の一冊に。




この特集の掲載号
『家庭画報』2022年1月号


家庭画報2022年1月号
表示価格はすべて税込みです。
撮影/内藤貞保 取材・文/西村晶子 撮影協力/大黒晃彦(花)

『家庭画報』2022年1月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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