ポール・マッカートニーの初ソロ・アルバムに入っている隠れた名曲「
ジャンク」も3拍子である。
ジャンクとは「がらくた」のこと。
どこか寂しげなこの曲の歌詞は、古くなったもの、老いていくものを愛惜する内容だ。
ビートルズを続けていきたかったポールが、解散を目の当たりにして、バンドのなかで孤立する複雑な思いを歌っている。どうしようもなく過去に向かう思い。それがワルツのリズムによって、センチメンタルに堕さずに、「ま、人生、こんなこともあるよ」
ふっと力を抜いて、達観しているようだ。
3拍子の曲には、どこかせつないものが多い。
叶えられない望み、達成できない夢、したくてもできない旅、別れざるを得ない出会い……。
そういう思いに、ベタつかずに、そっと寄り添ってくれるのが、ワルツなのかもしれない。