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懐かしいあの曲も実は3拍子。クラシックだけじゃない「ワルツの名曲」

2022.01.14

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3拍子の音楽を聞いていると、2拍子や4拍子よりも、なぜか心が休まる。

それは、ひとの鼓動が3拍子だからかもしれない。

母の胎内にいる頃から、この世を去る日まで、ぼくらは心臓のリズムを刻んでいる。


それは「ト・ク・トゥ、ト・ク・トゥ」の3拍子だという。弁膜の開くときの音があいだに入るからだ。

そういえば、バッハが不眠症に悩む伯爵のために書いたともいわれる「ゴルトベルク変奏曲」の出だしのアリアも、3拍子だ。

アフリカなどのポリリズムにも必ず3拍子が重ねられている。

ひとがこの世にある限り、からだの奥底には、ワルツのリズムが脈打っているようだ。

しかし、命には始まりがあり、必ず、終わりがある。

3拍子には、死を免れない命のかなしみ(愛しみ、哀しみ)が宿っている。

いくら明るい曲を聴いても、どこかせつない気分になるゆえんは、そこにあるのかもしれない。

いつもは鼓動のリズムに気づくことはない。しんと静まりかえったひととき、ぼくらは、その音に気づくのだ。
撮影/本誌・伏見早織 編集協力/三宅 暁(編輯舎)
『家庭画報』2022年1月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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