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ダウントン・アビーのロケ地ハイクレア城で、激動の人生を送った伯爵夫人たち

2018.02.13

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コーラのモデルとなった第6代伯爵夫人


ダウントンアビー

レディ・フィオーナの著書。Lady Almina and the Real Downton Abbey: The Lost Legacy of Highclere Castle. ドラマ『ダウントン・アビー』における伯爵夫人コーラのモデルとなった、第6代伯爵夫人の物語。

一方、1922年に第6代と結婚したレディ・キャサリンはアメリカ人で、父親は鉄道王でした。


逼迫した台所を抱える英国の貴族達、財を成してもタイトルのない新世界の成功者達は、互いに婚姻で不足分を補い合ったのです。

チャーチル元首相の母親もアメリカから嫁いで来ました。ドラマ『ダウントン・アビー』における伯爵夫人コーラも、アメリカ富豪の持参金付きの令嬢との想定です。

結局、6代目の結婚は女性問題で破綻に。「レディ・キャサリンはそれでも元夫に対し最後まで寛容でした」とレディ・フィオーナは語ります。

レディ・キャサリンの結婚式の写真

第6代目伯爵(左)とレディ・キャサリンの結婚式。ジョージ皇太子(右後ろ)も参加。

2つの世界大戦を経て落ち目になった貴族達の中には、館を爆破してせいせいした輩もいましたが、ハイクレア城は生き残りました。ですが、その陰には代々の夫人達の献身があったのです。

レディ・フィオーナは、そんな夫人達にスポットを当て、彼女達の生き様を通して、貴族達がどのように時代の波を乗り切っていったかを綴りました。彼女達は文字通り、時代に翻弄された人生を送ったのです。

さて、レディ・フィオーナ自身はどうでしょうか? 彼女の場合は伯爵家に嫁いだことで自己実現したと思います。城の切り盛り、執筆活動、社交にチャリティー、夫に代わってスピーチまで買って出ます。マルチタスクをこなす彼女は、自分の才能をハイクレア城という舞台で十二分に発揮します。その姿は、まるで大輪の白薔薇が花開いたかのように見事です。

●フィオーナ・カナーヴォン伯爵夫人/ロンドン生まれ。6人姉妹の長女。 セント・アンドリューズ大学で英語とドイツ語を専攻、ロンドンで国際会計士として働く。1999年カナーヴォン伯爵と結婚。一人息子エドワードの母。ハイクレアのガイドブックをはじめハイクレア絡みの数々の著書をしたため、歴史家として知られる。趣味は乗馬、読書。オフィシャル・サイトはhttps://www.ladycarnarvon.com/

次回はハイクレア城のため息が出るほど素敵なインテリアをご紹介します。更新は2月19日。お楽しみに。

山形優子フットマン/Yuko Yamagata-footman

フリーライター
上智大学文学部社会学科卒業。カルフォルニア州立大学心理学科でヒューマニスティック・サイコロジーを専攻、修士課程修了(ロータリー財団奨学生)。新聞記者を経てフリーライターに。在英約30年。イギリス人男性と結婚、3人の娘の母。著書に『憧れのイングリッシュガーデンの暮らし』(エディシォンドゥパリ)、『なんでもアリの国イギリス なんでもダメの国ニッポン』(講談社文庫)他。
構成/樺澤貴子 今までの連載#ハイクレア城に暮らすを読む
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