二人の出会いは1968年の第15回日本伝統工芸展。
北村さんがNHK会長賞を受賞した帯「連」の織組織を見た森口さんは、その素晴らしさに感動し、「こんな作品を作る人が出品する会なら、自分も出品し続けよう」と触発されます。
帯/北村武資北村さんにとっては、模索し続けた織りの表現に手応えを感じた記念すべき一作。
互いを引き立て合う美は54年の時を超えて
森口邦彦作きもの「位相割付亀甲文」/銀座もとじ 和染 北村武資作繧繝綴袋帯「菱つなぎ」/銀座もとじ 和織 帯揚げ/加藤萬 帯締め/道明 髪飾り/かづら清老舗銀座もとじ「プラチナボーイ」の糸で織った白生地に、森口さんが染めた新作。周期的に繰り返す図形が大きさを変えながら展開し、着る人が動きの中で優雅に見えるよう計算されています。
梔子(くちなし)色と銀鼠色に彩られ、蒔糊を施した亀甲文様と三角形が着こなしを支えます。北村さんの帯は、二人の出会いに重要な役割を果たしたものと同じデザイン。太さの異なる糸で織りの密度を自在に変化させ、揺らぎのある美しさを表現して。
北村武資(きたむら・たけし)
1935年京都市生まれ。1995年に「羅」、2000年には「経錦」において重要無形文化財保持者に認定。古代技法の復元だけでなく、現代に生きる織りのクリエイターとして尊敬と支持を集める。森口邦彦(もりぐち・くにひこ)
1941年京都市生まれ。2007年、父・華弘氏と同じ「友禅」の分野にて重要無形文化財保持者に認定。世界的に活躍する作家であるとともに、三越のショッピングバッグのデザインでも知られる。
「二大巨匠展 北村武資×森口邦彦」
特別トーク会のお知らせ
2月19日(土)~27日(日)まで、銀座もとじ 和織・和染(東京都中央区銀座4-8-12)にて、初の二人展を開催します。今回ご紹介した共同作品をはじめ、二人の作品の数々をご覧いただけます。また、これを記念し、下記日程で特別トーク会を行います。多摩美術大学教授・外舘和子先生とともに、二人のものづくりの神髄に迫ります。ふるってご応募ください。
日時:2022年2月26日(土)11時~12時
会場:銀座フェニックスプラザ(東京都中央区銀座3-9-11 紙パルプ会館内)
参加費:無料
募集人数:先着30名さま
応募方法:銀座もとじ 和織・和染に直接お電話にてお申し込みください。
申し込み電話番号:03(3538)7878
受付期間:2021年12月27日(月)~2022年1月31日(月)(12月30日~1月3日を除く)
※ご紹介した内容は諸事情により変更されることがあります。
〔特集〕北村武資×森口邦彦
二人の人間国宝の新たなる挑戦
着る人/檀 れい 撮影/森山雅智 ヘア&メイク/黒田啓蔵〈iris〉 着付け/小田桐はるみ きものコーディネート・取材・文/相澤慶子
『家庭画報』2022年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。