新しい挑戦が、次の未来を生み出す
2年越しに完成した共同作品を目の当たりにした泉二さんは、「新しい希望の光をはっきり感じた」といいます。
「お客さまにコーディネートの提案をするときに、森口先生のきものには北村先生の帯を合わせることが多いんですね。それくらい、お二人の作られるものは品格が揃っている。そんなお二人の合作は長年の自分の夢の実現です。私自身の集大成だと思って取り組んできましたが、作品を見た瞬間に、さらなる目標も生まれました。これからも日本の手仕事や染織文化の、そしてそこに関わる皆さまの力になりたいです。美しい文化が人に勇気を与え、心を潤すのですから」
「長年信頼する森口さんと一緒に、全く新しいことに挑戦する機会をいただけたことに感謝しています」と北村さんがいえば、森口さんも「ものすごい刺激を受けたことがありがたいですね」。さらに「これは終わりではなく、始まり」と続けます。
「文化というものは、互いが刺激し合い、高め合って、蓄積していくことが大切。その蓄積は、人間にしかできないことです」
この作品に合わせる帯はどんなものがいいかという編集部の問いに、二人は口を揃えて「羅金やな」と息もぴったり。「僕たちは生真面目な性格が似ていると思う」という北村さんに対して、「北村さんへの敬意は54年経っても変わらない。間違いなく世紀を代表する織りのクリエイターですから」と森口さん。
互いをリスペクトする気持ちは、今回、今までなかったものを生み出す大きな原動力になりました。そしてその作家の情熱と愛情の結晶は、まとう人の体を美しく包み込むきものとなって新たな歩みを始めます。誰かを幸せにするために――。二人の挑戦は、これからも続きます。
「二大巨匠展 北村武資×森口邦彦」
特別トーク会のお知らせ
2月19日(土)~27日(日)まで、銀座もとじ 和織・和染(東京都中央区銀座4-8-12)にて、初の二人展を開催します。今回ご紹介した共同作品をはじめ、二人の作品の数々をご覧いただけます。また、これを記念し、下記日程で特別トーク会を行います。多摩美術大学教授・外舘和子先生とともに、二人のものづくりの神髄に迫ります。ふるってご応募ください。
日時:2022年2月26日(土)11時~12時
会場:銀座フェニックスプラザ(東京都中央区銀座3-9-11 紙パルプ会館内)
参加費:無料
募集人数:先着30名さま
応募方法:銀座もとじ 和織・和染に直接お電話にてお申し込みください。
申し込み電話番号:03(3538)7878
受付期間:~2022年1月31日(月)
※ご紹介した内容は諸事情により変更されることがあります。
撮影/森山雅智 取材・文/相澤慶子
『家庭画報』2022年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。