2021年11月、東京・大手町の丸紅ビル新社屋にオープンした「丸紅ギャラリー」。きものや帯、袱紗などの染織品、染織図案、和洋絵画を3つの柱としたコレクションを展示する新たな美術館だ。
丸紅ギャラリーのエントランス初代館長を務める杉浦 勉さんに話を聞いた。
「当館の西洋画コレクションは、ビジネスを通じて蒐集されました。1970年代、丸紅はおもに個人向けの絵画販売を行っていたため、印象派やエコール・ド・パリの画家たちによる、部屋に飾って楽しめる絵画が多数を占めています。きものや染織図案は、戦前、繊維卸売業を営んでいた丸紅が、きものの新しいデザインを模索する上で蒐集、作成されたものです」
和田英作《彦根内湖》本展の見どころを教えていただいた。
「日仏の近代絵画を並べることにより、日仏交流の歴史を概観することができます。浮世絵と印象派の作品の並列はこれまでにも多く行われていますが、このような展示は意外と今までなかったのではないでしょうか。また、それぞれの絵画にストーリーがあるところも見どころです。」
ルノワール《エスタックのオリーブ畑》カミーユ・コロー《ヴィル・ダヴレーのあずまや》「ルノワールの作品はニューヨークのメトロポリタン美術館で1941年に開催された『ルノワール生誕100年展』に出品されたもので、セザンヌと出会ったエスタックで描かれたもの。コローの作品は母親の誕生日に贈られたものです。実は本展の会場で人気投票を行っているのですが、70年代によく売れていた作家の作品が今も高い人気を得ているという興味深い結果が得られました」
こうした企業活動により、私たちの文化芸術鑑賞の機会が増えることを歓迎したい。
丸紅ギャラリー開館記念展Ⅰ『日仏近代絵画の響き合い』
表示価格はすべて税込みです。
構成・文/安藤菜穂子
『家庭画報』2022年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。