1.地の暦「干支」を読み解く
60年に一度の「壬寅」干支が伝える“神の意志”
干支は、中国の古い思想である陰陽五行説を礎にした60年周期で繰り返す暦のことです。古代人はこの生命循環の組み合わせに大いなる意志を見て、世の理を解き明かそうとしました。
十干は太陽を象徴とした生命循環を表すもので、「甲・乙・丙・丁・戌・己・庚・辛・壬・癸」の10種類。1番目の「甲」は草木の芽生えを、10番目の「癸」は落ちた種が土の中に潜ることを意味し、これを繰り返します。
十二支は月を象徴とした生命循環を表すもので、ご存じのように「子」から始まり「亥」で終わる12種類。1番目の「子」は生命の種子が宿ることを、12番目の「亥」は次世代の種の中に生命力が閉じ込められることを意味します。これもまた繰り返します。これを踏まえて2022年の干支「壬寅」を読み解いてみましょう。
「壬」は十干の9番目で、生命循環でいえば終わりの位置に近く、次の生命を育む準備の時期。陰陽五行説では壬は「水(みず)の兄(え)」と表記し、「水の陽」を象徴します。五行の水は静寂、停滞、冬の象徴。陽は激しい、大きいの意を持ちます。つまり、厳冬、静謐、沈滞を表します。
「寅」は十二支の3番目で、生命循環でいえば初めの位置に近く、誕生の時期。陰陽五行説では「木の陽」を象徴し、成長、発育、春、すなわち大きく成長する意味があります。
この2つが合わさると、「水生木(すいしょうもく)」の「相生(そうせい)」と呼ばれる組み合わせで、水が木を育て、水がなければ枯れる、お互いに補完し、強化する関係になります。また、冬が厳しいほど春の芽吹きは生命力にあふれることを示します。今は厳しいように感じても、それは明るい未来への兆しととらえましょう。
さらに、東洋思想では言葉に天意が宿ると考えられてきました。音韻は、陰陽五行説をもとにした「納音(なっちん)」で分類されます。それに倣うと、「壬寅」の文字の納音は「金箔金」。これは金箔に使われるわずかな金を表し、素晴らしい資質を持っているので、己を磨けば成功に導かれるという意味があります。
総合すると、「壬寅」は、春の胎動を活発にするには、地道な自分磨きを行い、実力を養う必要があることを示しています。2022年は、自信が持てることが一つあることが開運につながることからも、精進は重要です。