検査で見つかっても自覚症状がない人も多い
肺NTM症では、慢性的に咳が出る、痰がからむ、血痰が出る、微熱がある、だるい、体重が減るといった症状があらわれます。進行すると、この感染症が原因で亡くなることもあります。
画像検査では、気管支の拡張や結節、空洞などの病変がみられます。「肺や気管支に元には戻らない構造破壊が少しずつ進行していく患者さんがいます」(長谷川先生)。
一方、画像上でこのような病変が確認されても、あるいは構造破壊が進行していても症状が乏しい人は少なくありません。
症状や画像検査の結果に反して痰のなかの排菌量が多い場合もあります。感染しやすい人、感染して病気が進行する人はどんな人なのかは研究が進められていますが、まだわかっていません。
また、「患者さんをみていると、ストレスが強くなると病状が進行する場合があるように感じます」と長谷川先生は話します。
複数回の喀痰検査によって確定診断を行う
この病気の確定診断には喀痰検査が必須です。喀痰検査では菌の種類の特定も行われます。痰を採取し、培養して2回陽性になり、菌の種類が同じとわかると肺NTM症と診断されます。
「痰を出すのが難しいことも多いですが、診断や病状の把握のためには喀痰検査が必要ですので、何度でもトライしていただきます」。
画像検査で肺NTM症を疑う影が出ている場合、痰の検査で陰性でも、病巣の菌が少ない、あるいは痰に菌が出にくいことも考えられるため、「半年に1回、少なくとも1年に1回は診察と検査を受けることが重要です」。
この感染症の疑いがある人には、長谷川先生は過去の健康診断などで撮影された検査画像を集めるよう依頼し、それを診断や治療の手がかりにするそうです。