冷えは「水」の代謝を悪くし、「血」の流れを滞らせる
漢方では人の体は「気血水(きけつすい)」という基本物質で構成されていると考えます。簡単にいうと気は精神分野、血は血液、水は血液以外の水分を指し、これらが“不足する、過剰になる、滞る、代謝が悪くなる”などの変調をきたすと体調を崩し病気になるととらえるのです。
冷えの影響は全身にさまざまな症状として表れます。この時期に多い頻尿や夜間排尿は、水分代謝が悪くなったり、水分が寝ている間に腎・膀胱系に集まることが原因です。日中、体を起こしているとき、水分は重力で下半身に溜まりやすく心臓の力だけで引き上げることができません。就寝時、体が横になると下半身の水分が水平に移動して腎・膀胱系に集まり尿意が起こるのです。
血の滞り(瘀血=おけつ)で生じるのが生理痛や下腹部痛など婦人科系の症状で、手足の末端が冷え、靴下を重ね履きしても冷たいいわゆる冷え性は体内の血液不足(血虚=けっきょ)が原因。
これに対して体表の皮膚の血行不良がもたらすのがしもやけです。冷えが筋・関節系に及び、腰痛や神経痛が悪化しやすいのもこの季節。背骨と神経の脇にある筋肉が冷えて柔軟性を失い、縮んで神経を圧迫するのです。
撮影/本誌・武蔵俊介 イラスト/浜野 史 取材・文/浅原須美
『家庭画報』2022年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。