【2月の食養生】
◆冷え性や神経痛に黒豆酒を
黒豆と酒の作用で冷え性や痛みの改善に効果的な黒豆酒を冬の常備品に。アルコールが苦手な人は飲む分だけを煮切ってアルコール分をとばすか、3倍以上の水で薄めて飲むとよいでしょう。濾した後の黒豆は柔らかくなっており、煮豆などに利用できます。
〈作り方〉
1.黒豆(150グラム)を熱したフライパンで5~10分空炒りする。
2.熱いうちにガラス製などの密閉容器に入れ、日本酒(3カップ)を注ぐ。3~5日ねかせて黒豆の成分を日本酒に移す。それ以上ねかせると成分が黒豆に戻ってしまうので注意。
3.茶こしで漉す。冷暗所で保存する。
◆血流改善にサフランホットミルク
血を巡らす作用のあるサフランを使った温かい飲み物です。
〈作り方 2人分〉
1.鍋に牛乳(400ml)とサフラン(4、5本)を入れて沸かし、3分煮出す。
2.火を止めて、はちみつ(大さじ1)を入れてよく混ぜる。
【漢方薬局だより】
漢方薬の奥深さと不思議 自然の生薬、組み合わせの妙半世紀以上、漢方の世界にどっぷり浸かっている私ですが、いまなお漢方薬の奥深さに魅せられ続けています。体質に働きかけて根本的に治そうとする効き方は体に負担をかけず、多少時間がかかるもどかしさを補って余りある優しさと柔軟性を感じるのです。
漢方薬は多様な作用を持つ複数の生薬の組み合わせでできており、たとえば葛根湯には7つの生薬(葛根、麻黄=まおう、桂皮、芍薬、甘草、大棗=たいそう、生姜=しょうきょう)が含まれています。生薬の原料は植物・動物・鉱物など自然のもの。これらを乾燥させる、蒸す、酒に漬けるなどして効果を強めたり毒性を減らして用います。
生薬を二味三味合わせたら、何がどう効いているかの科学的分析は不可能です。それでも「効く」という経験則で多くの漢方薬が2千年も生き残ってきたのですから、その信頼度はゆるぎないものだといえるでしょう。
〔解説してくださったかた〕横浜薬科大学特任教授・薬学博士 漢方平和堂薬局店主 根本幸夫先生1947年生まれ。69年東京理科大学薬学部と東洋鍼灸専門学校を同時に卒業後、さらに鍼灸と中国医学を学ぶ。「普段の生活こそが治療の場」をモットーに、漢方平和堂薬局(東京都大田区)では多くの人々の健康相談にのり、養生法をベースに漢方薬処方を行っている。横浜薬科大学漢方和漢薬調査研究センター長ほか役職多数、著書多数。 撮影/本誌・武蔵俊介 イラスト/浜野 史 取材・文/浅原須美
『家庭画報』2022年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。