女性特有の不調を解消し、更年期からの健康を支える「性差医療」最前線 第4回(全8回) 初潮から閉経までの約40年にわたり女性ホルモンに庇護され続けてきた私たち女性の体は、更年期を境に次のステージへと入っていきます。こうした性差の視点から成熟世代の女性の健康づくりをサポートしてくれるのが2001年以降、全国各地に設置されてきた「女性外来」です。年を重ねても自分らしく生きていくために──。その扉を叩いてみませんか。
前回の記事はこちら>> 原因がわからない「不定愁訴」に悩まされていませんか
更年期の揺らぎを見過ごさないために、性差で起こるさまざまな症状について解説します。
天野惠子(あまの・けいこ)先生静風荘病院特別顧問、日本性差医学・医療学会理事
NPO法人性差医療情報ネットワーク理事長
卵巣機能の衰えにより多種多様の症状が出現する
更年期とは閉経前後の10年を指し、日本人女性の平均閉経年齢は50歳であることから一般的には45〜55歳の期間をいいます。
更年期になると衰え始める卵巣機能の変化(揺らぎ)は、脳、とりわけ視床下部の神経活動に影響を及ぼし、心身に多種多様な症状を引き起こします。
「その大半は臓器などに異常がないにもかかわらず、自覚症状を認める機能性疾患です。こうした特徴を有することから、更年期症状とは脳の認知機能の問題なのだと私なりに解釈しています」と天野惠子先生は説明します。
一方で、心身の不調を何もかも更年期のせいにするのは危険だとも忠告します。「更年期に起こる不定愁訴を見過ごさず、ぜひ女性外来に相談してください」。
多種多様! 更年期に起こる不定愁訴の例
●イライラする
●ささいなことで気分が落ち込む
●怒りっぽい
●集中力が続かない
●頭が痛い・めまいがする
●肌が乾燥しやすい
●下半身が冷える
●上半身がほてる
●大汗をかく
●トイレが近い・失禁する
●肩が凝る
●体がだるい
●疲れやすい
●足がむくむ
●手足がしびれる
●寝つきが悪い
●途中で目が覚める
●眠りが浅い