行き場のない「私の症状」
「何科を受診したらいいのか困っている」、「複数の病院にかかっても診断がつかない」、不定愁訴に悩まされる方々の体験談。
【ケース1】
心電図検査では異常なし。明け方に胸が締め付けられる
── 東京・48歳 主婦長女の大学受験と長男の高校受験の最中に実母が骨折して入院。心労が重なりました。疲れが取れず、早めに休んだその日の明け方、息苦しさで目が覚めました。胸が締め付けられるように苦しく、隣に寝ていた夫を起こして救急車を呼んでもらいました。病院に搬送された頃には症状が落ち着き、心電図を録ったものの異常なし。
この話を友人にしたところ「狭心症じゃないの」といわれ、怖くなって大学病院の循環器内科を受診し、精密検査をしましたが、やはり異常は見つからず。その後、何度も同じ症状が出たので、有名な心臓専門病院にも行きましたが、そこでも原因がわからず「疲れているだけではないか」との診断に納得がいかない私です。
【ケース2】
血圧が上がり、動悸や息切れ、頭痛、吐き気などに襲われる
── 北海道・46歳 主婦会社経営の夫を支え、家事も育児もすべて一人でこなしてきました。若いときは気力で乗り切れたものの、30代後半から疲れを感じると血圧が急に上がり、動悸や息切れ、胸苦しさを覚えるように。心臓病を疑い、複数の病院を受診したところ「自律神経失調症」と診断されました。
そのうち、目がチカチカして血圧が上がり、気分が悪くなるといった症状が出てきて、今度は眼病を疑い、眼科にも行きました。けれど異常は見つかりません。ときに激しい頭痛や吐き気を伴うことがあり、救急車で運ばれたことも。大学病院や専門病院を含め、いくつもの病院を回りましたが、未だ原因は特定できていません。体調の波は大きく、寝たり起きたりの生活は本当につらいです。
【ケース3】
得体の知れない不安に駆られ遠出することができない
── 広島県・51歳 主婦最初に異変を感じたのは45歳の初冬のこと。いきなり上半身が熱くなって玉のような汗が顔から噴き出したのです。もともと汗かきでしたが、本当に驚いて「こういうのが更年期なのか」と思いました。その後ものぼせは続き、下半身の強い冷えを伴うように。厚手ソックスを履いてカイロも使いましたが、改善の兆しはなく、頭痛や胃重感、下痢にも悩まされました。
気分転換に娘が紅葉狩りに連れ出してくれましたが、喫茶店で休んでいると突然、得体のしれない不安が湧き起こってきて、居ても立ってもいられなくなって急いで家に連れて帰ってもらいました。以来、この不安がいつ襲ってくるかわからないと思うと怖くて遠出することができません。
次回以降、このような症状と向き合ってくれる女性外来の実際の診療をご紹介します。 〔特集〕女性特有の不調を解消し、更年期からの健康を支える 「性差医療」最前線(全8回)
撮影/鍋島徳恭 ヘア&メイク/木下庸子〈Plant Opal〉 イラスト/佐々木 公〈sunny side〉 取材・文/渡辺千鶴
『家庭画報』2022年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。