紫竹ガーデンに春来る 第3回(全7回) 北海道の人気庭園として名高い「紫竹ガーデン」。なかでも雪解け直後からの「春の庭」は圧巻。早春から爛漫の春へ続く花園のドラマを余すところなく、ご案内します。
前回の記事はこちら>> なごり雪が厳しい冬の終わりを告げる「あまたの花に降り積む、恵みの雪」
「宿根ボーダーガーデン」を埋め尽くすクロッカス群。1時間も経つと景色は一変していて、園内を何周しても見飽きることがない。北海道・帯広「紫竹ガーデン」に春来る。第1回の記事を読む>>「十勝平野の冬は、雪はそうたくさん積もりません。ただ真冬は零下20度まで下がります。大地は60センチから1メートルが凍土になり、そのうえ、吹き抜ける風で乾き、地表は20センチの氷の塊になります。凍った地表がその下に眠る球根たちの目覚めを阻むのです」と語るのは、昭葉さんの庭づくりを和葉さんと共に支えるご主人の隈本 毅さん。
春迎えが進んだと思えた4月下旬、夕方から突然、雪が降りだしました。一晩中降り続け、夜明けの紫竹ガーデンは、ようやくつぼみが顔を覗かせたクロッカスの花群に、容赦なく降り注いだなごり雪で一面の銀世界に。
一晩中降り続いた雪が止み、地平線から昇る朝日が、純白の庭園に光を届ける。平地ならではの絶景。凍って萎れてしまうのかと思いきや、一旦純白に覆われた大地は、日が昇り始めると、カサコソと音を立てながら、首を傾げていた花々が一輪一輪、雪を押しのけて立ち上がっていきます。
どれだけ待ち望んだ恵みの水だったのでしょう。猛烈なスピードで花茎を伸ばす回復力を目の当たりにすると、植物の逞しい生長戦略を感じずにはいられません。
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紫竹ガーデン Shichiku Garden
北海道帯広市美栄町西4線107
- ※オープンは4月16日、クローズは11月上旬。開園の詳細はホームページでご確認ください。
撮影/大泉省吾 協力/紫竹ガーデン
『家庭画報』2022年3月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。