「日々の器」を楽しむ 第3回(全7回) 今、器がブームといわれています。今回、取り上げるのは手頃な価格で、どんな料理にも合う汎用性がある普段使いの器。器ギャラリーがすすめる注目の作家の器を、おすすめのコーディネート提案とともにご紹介します。
前回の記事はこちら>> 注目のギャラリー3軒にきく、今の時代が求める“日々の器”とは
東京、神奈川、京都の人気ギャラリーの店主3人に、今、人々が心惹かれる器とはどういうものか、話をお伺いしました。
左から、うつわ祥見 KAMAKURA店主 祥見知生さん、京都やまほん店主 山本忠臣さん、暮らしのうつわ 花田店主 松井英輔さん。暮らしのうつわ 花田店主 松井英輔さん
1977年に東京・九段に店を構えた初代の後を継ぎ店主に。骨董や作家物の器に囲まれて育つ中で培われた眼を生かし、時代に合わせてさまざまな企画を提案する。「美しく、楽しい食卓を」がモットー。「手にとるだけで心躍る、自分をもてなす器選びを楽しむ時代です」(松井さん)
器の楽しみ方が大きく変化してきました。食を楽しむためであることには変わりないのですが、「知識やルールは必要なく、純粋に自分が好きなものを選ぶ人が増えています。
一器多用がよしとされていたときは、迷うお客さまに対して用途が3つ思い浮かんだら買ってみてはとお話ししていたのですが、それだけの話でもなくなってきました。素敵だと思ったら、むしろ使い方や相性などにかまわず暮らしに取り入れてほしい」と話すのは、創業45年「暮らしのうつわ 花田」の松井英輔さん。
自分の「欲しい」という気持ちにぴったり寄り添う器を選ぶと考えただけで、肩の力が抜けて楽しくなってきます。
取り扱い作家が400人を超え、さまざまな作風の器が並ぶ店内。お気に入りに出合える。器選びが個人的な楽しみになってきたことは、折敷やお茶の器の人気にも現れています。
どちらも世界観が作りやすく、その空間に癒やされます。人をもてなすためだけでもなく、家族のためだけでもない、自分を満たす器を楽しく選ぶ幸せ。個々に本当の豊かさを見極める洗練された時代の到来です。
手前から時計回りに、「刻文小鉢」イム・サエム 作、「色絵花蝶文丸鉢」山本恭代 作、「色絵二段重箱」重田良古 作