「鶏飯」以外の奄美の料理も知ってほしいと話す恵上イサ子さん。
地域や各家庭によって具材や作り方が少しずつ異なるのですが、三献は奄美の正月には欠かせないと誰もがいいます。「奄美大島の郷土料理は、鶏飯だけではないのですよ」と話す恵上さんに、三献の後に食べる祝い膳も作っていただきました。
「なつかしゃ家」で提供される祝い膳(5000円)。ほかではなかなか食べることができない奄美の食材が満載。紫色のハンダマご飯は恵上さんのオリジナル。
伊勢海老やさざえ、トビンニャ(マガキ貝)、もずくといった海の幸に加え、にがうりとつぶ味噌の炒め物、冬瓜と塩豚の煮物、油そうめん、ピーナッツ豆腐、長命草の天ぷら、さらに地元でハンダマと呼ばれる水前寺菜の煮汁で炊いたきれいな紫色のハンダマご飯など、奄美大島特有の食材が満載です。
これらには発酵食品も多く含まれ、栄養成分が実に豊富。奄美は長寿の島としても知られていますが、その源は、先人たちが知恵を出しあっておいしく食べられるように工夫してきた食生活なのでしょう。
沖縄料理の影響を受けつつ、薩摩料理の影響も受けて独自の食文化を築いた奄美大島。現地を訪れて、ゆっくりと流れる時間の中で味わってみてください。
少し酸味があって深い甘みがある「島バナナ」
2月から旬を迎える「たんかん」。奄美大島は地元産フルーツも豊富。
「家庭画報」2018年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。