今、会いたい名医に聞く 米倉涼子の「気になる医学」 新型コロナウイルスの第5波が襲った2021年夏を「地獄でした」と振り返る感染症専門医・大曲貴夫先生。2021年秋に放映された医療ドラマ『ドクターX』シリーズで感染症のテーマに向き合った米倉涼子さん。感染対策から今後の見通しまで語り合う、熱い対談となりました。
※本対談は2021年12月11日に、感染予防対策を徹底して行いました。
東京都の会見でおなじみの大曲先生ですが「生放送で余計なことをいってたまに叱られます(苦笑)」。「口外できないことも多いんですね」と興味津々の米倉さん。〔米倉さん〕ドレス75万9000円 コート132万円 靴8万6900円(参考価格)/すべてディオール(クリスチャン ディオール) ピアス3万5200円/グロッセ(グロッセ・ジャパン)
大曲貴夫先生(国立国際医療研究センター 国際感染症センター・センター長)
米倉さんから見た大曲先生の印象→「正直に何でも答えてくださるのでとても勉強になりました。楽しかったです。感染対策のアドバイスも端的でスッキリ!」
大曲貴夫(おおまがり・のりお)1970年7月27日生まれ。佐賀県出身。O型。佐賀医科大学(現・佐賀大学)卒業。聖路加国際病院内科にて研修後、2002年アメリカ・テキサス大学感染症科、2004年静岡県立がんセンター感染症内科を経て2011年より国立国際医療研究センター病院国際疾病センター(現・国際感染症センター)勤務。2012年より同センター長。2020年のダイヤモンド・プリンセス号の集団感染から新型コロナウイルスの治療にあたる。●座右の銘/ダンテの言葉「汝の道を進め、そして人々をして語るにまかせよ」
世界を変えたウイルスに向き合う想い
いつかは来ると予期していた新型コロナウイルスの襲来
米倉さん(以下敬称略) 大曲先生、初めまして。よろしくお願いいたします。今日はせっかく感染症の専門家にお会いできるのでお聞きしたいことがたくさんあります! まず、大曲先生は新型コロナウイルスが来ることを予想されていらしたのでしょうか?
大曲先生(以下敬称略) 予期はしていました。2012年にアラビア半島の国々を中心に発生した“MERS(中東呼吸器症候群)”という感染症があるのですが、僕は日本における治療研究班の班長をしていたのでいろいろ調べていまして。当時、幸運なことにMERSは日本には入ってこなかったのですが、何か新しいウイルスが日本にいつ来てもおかしくないなとは思っていました。
大曲先生から見た米倉さんの印象→「頭の回転が速くて勘もいい。非常に明快な鋭い質問で、テンポよく進むアスリートの会話でした(笑)。楽しかったです。本物のお医者さんになっても仕事できるだろうなあ」米倉 コロナ禍になってから、毎日陽性者数が発表されていますよね。2020年春先、第1波の頃はPCR検査を受けられる人数が厳しく絞られていましたが、その頃の感染者数は正確だったのでしょうか? 感覚的には、発表の数倍は陽性のかたがいたように思えて......。
大曲 実際、2020年の3〜4月は発表の10倍くらいだったと僕も思います。たくさんいたはずなんです。でもキャパシティも追いつかず、重篤な肺炎を発症している患者さんだけを対象にするという規定もあり調べられなかった。今は、PCR検査もかなり行えるようになったし、病院と保健所から都庁に集まる感染者数の報告はシンプルにうまくいくようになりました。
米倉 なるほど。感染していても熱が出ない場合は見つけられるのでしょうか。
大曲 自覚症状がなく、発熱もないと見つけにくいですよね。でも、若い人に味覚・嗅覚障害が出ることが多いのは確かなんです。それで受診して感染がわかるケースも多いですから。
米倉 味覚・嗅覚障害、よく聞きます。アメリカのブロードウェイに出ている私の知り合いの多くが新型コロナウイルスに罹ってしまったのですが、高熱が出て、味覚嗅覚も戻りが悪いといっています。味覚障害が辛いときには亜鉛が効果的というのは本当ですか?
大曲 そうですね。野菜が嫌いだったり、極端に偏食気味の人は味がしなくなることがあるのですが、そういう場合は亜鉛を飲むと戻ったりします。
米倉 感染を抑えるためには、軽くても気になる風邪症状があったら早めに病院へ行くと、考え方を切り替えたほうがいいのでしょうか。
大曲 それでいいと思います。どんどん検査をして早く対応することが大事なのだと思いますよ、僕は。