今、気になる毛髪の話 年齢とともに起こりがちな薄毛の悩みは、自然に改善されるものではありません。有効な薬剤も登場している今、専門の医療機関を訪ねて治療を始めることが大切です。そのために知っておきたいことを、女性の薄毛治療を専門とするクレアージュ エイジングケアクリニック総院長の浜中聡子先生にうかがいました。今回は〈後編〉をお届けします。
前回の記事はこちら＞＞ 〔解説してくださるかた〕クレアージュ エイジングケアクリニック総院長
浜中聡子先生
●前回の記事
女性の薄毛の2大原因とは？＞＞状態に合わせた処方薬で発毛作用を促進
最近では、発毛や抜け毛の進行予防の効果が高いミノキシジルを配合した治療薬を扱っているところもあります。
ミノキシジルは市販の発毛剤に配合されていることもありますが、医療機関ではより高濃度の処方薬を使用することで、直接的な発毛促進作用を引き出します。
また、ミノキシジルは体内への薬剤の蓄積や依存性がないため、使い続けることによる体への負担がないというメリットもあります。
ただし、中止すると体から速やかに排泄されるため、ある程度効果を持続させるには、外用薬であれば1日1回、頭皮に塗るという習慣化が必要です。
頭頂部が薄くなった50代女性の場合
治療前は頭髪全体が薄く、分け目が目立っていたが内服薬・外用薬を使用し続けたところ6か月でボリュームが戻り、12か月後には分け目の立ち上がりも見られるようになった。
ミノキシジル配合の外用薬は、薄毛治療の強い味方
もともとは高血圧症患者向けの血圧降下剤としてアメリカで開発されたミノキシジルですが、服用者から「薄毛が改善された」という報告が相次いだことから、アメリカでの臨床試験を経て、脱毛症治療への有用性が確認され、1980年代にミノキシジル配合の発毛剤が開発されました。
ミノキシジルは、髪の毛を作り育てることを担う「毛包」を活性化し、細い毛を太く長く育て、発毛を促進する作用があります。
薬剤としての信頼性は、2017年に日本皮膚科学会で発表された「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」でも、ミノキシジルの外用薬は「発毛効果に関して、高い水準の根拠がある」と「推奨度A」にランクづけされています。
浜中先生が院長を務める「クレアージュ東京 エイジングケアクリニック」では、濃度の異なる6段階のミノキシジル配合の外用薬を、薄毛の状態などに合わせて処方している。※今後、濃度は変更になる可能性があります。治療を機に、日々の生活習慣の見直しも
専門の医療機関での治療とともに、大切になるのが日常生活の見直しです。医療機関では必要に応じてサプリメントが処方される場合もありますが、この機会にぜひ日々の食事を見直していただきたいと思います。
加齢とともに一日の食事量は減る傾向にありますが、食事の量とともにたんぱく質の摂取量まで減ってしまうと将来の免疫力低下につながってしまいます。
特に、髪は主にケラチンというたんぱく質でできているため、肉や魚などたんぱく質を多く含む食材は積極的に摂り、高たんぱく低脂肪を心がけましょう。
また、髪は眠っている間に分泌される成長ホルモンによって成長するため、夜更かしをすると髪の成長を妨げる可能性があります。最低でも1日6時間は睡眠をとるようにしてください。ほかにも軽い運動を習慣にしてストレスをためない工夫をすることも大切です。
いずれにしても、薄毛は放置しても自然によくなることはありません。改善するには早めに医療機関を訪ねて治療を開始することが肝要です。
治療の開始を機に、日常生活を見直すことは、気持ちを前向きにするとともに、この先の健康長寿の一助となるはずです。
〔解説してくださった方〕浜中聡子先生
クレアージュ エイジングケアクリニック総院長。北里大学医学部卒業。女性薄毛治療歴14年。国際アンチエイジング医学会専門医、米国抗加齢医学会専門医、米国先端医療学会専門医などの資格を取得。女性の頭髪に関する悩みや更年期・女性ホルモンにまつわる悩みを専門分野とし、精神と身体の両面からケアすることを得意としながら“ウェルエイジング”を提唱し臨床現場に立つ。www.womenshealth-tokyo.com 撮影／本誌・大見謝星斗 ヘア&メイク／遠藤芹菜 取材・文／冨部志保子
『家庭画報』2022年3月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
